平成24年(2012年)7月9日から改正住民基本台帳法によって、外国人住民にも日本人と同様に、住民票が作成されることになりました。
つまり、外国人も住居地に変更があれば、日本人と同様に市区町村役所で「転入」や「転居」「転出」の届出し住民登録が必要になったということです。
そこで、今回は外国人の住民登録(住民票)について書いていきます。
皆様の参考になれば幸いです。
外国人にも住民票が作成される
上述した通り、平成24年の「住民基本台帳法」の改正によって、外国人登録制度が廃止になり、にほ印信と同様に外国人住民も住民基本台帳の対象になりました。
そのため在留資格を取得して、中長期日本に滞在する外国人は、日本に入国して、住居地を定めてから14日以内に市区町村に対して、住居地の届出(転入届)を行うことが必要となっています。
この住居地の届出を行うことによって、外国人にも住民票が作成されることになりました。
外国人にも住民票が作成されることによって、各種行政サービスの届出との一本化が図られるようになり、外国人にとって手続等が簡素化されました。
引っ越しなど住居地を変更した場合も届出が必要
住居地の届出を行なった後に、引っ越しなどで住所の変更があった場合は、こちらも日本人と同様の手続きが必要になります。
それは、市区町村で「転出届」「転居届」「転入届」などの届出の手続きが必要であるということです。
転出届とは?
「転出届」とは、例えば、
異なる市区町村に引っ越しをする場合、「現在住んでいる市区町村」に転出届を提出する必要があります。
その「転出届」を提出すれば、「転出証明書」を受け取ることができます。
注意点は、転出届は「現在住んでいる市区町村」で届出を行う必要があるということです。
「住民基本台帳法第24条」にその根拠が規定されています。
住民基本台帳法第24条
第二十四条 転出(市町村の区域外へ住所を移すことをいう。以下同じ。)をする者は、あらかじめ、その氏名、転出先及び転出の予定年月日を市町村長に届け出なければならない。
届出ができる人は?
届出ができる人は
・本人
・世帯主
・代理人
また、代理人の場合は、委任状が必要となり、親族の場合でも別世帯の場合は委任状が必要となります。
届出の期日は?
転出することが確定してから引越しされる日までに届出が必要です。
ただし、すでに引越しが終わっていても届出は可能です。
その場合は、引越しをした日から14日以内に届け出をしなければなりません。
必要書類は?
必要書類は、
1、住民異動届(転出届)
2、窓口にお越しになる方の本人確認書類(運転免許証、パスポート、在留カード・マイナンバーカード(個人番号カード)、健康保険証等)
3、窓口にお越しになる方の印鑑(住民異動届に本人署名の場合は不要)
4、国民健康保険被保険者証 ※加入されている方のみ
5、委任状 ※代理人が手続きされる場合
が必要になります。
市区町村によって書類が異なる場合もありますので、事前に確認をしておくと確実です。
転居届とは?
住民登録されている同じ市区町村内で引越しをした時に届出が必要になります。
こちらの場合は、引っ越し先の市区町村役場に対して、「転居」届けを提出すれば、住民票の変更がされますので、前住所地における「転出届」をする必要はありません。
「住民基本台帳法第23条」に根拠が規定されています。
住民基本台帳第23条
転居(一の市町村の区域内において住所を変更することをいう。以下この条において同じ。)をした者は、転居をした日から十四日以内に、次に掲げる事項を市町村長に届け出なければならない
一 氏名
二 住所
三 転居をした年月日
四 従前の住所
五 世帯主についてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄
転入届とは?
他の市区町村から引っ越しをした場合に、引っ越し先の住所地の市区町村で届出が必要になります。
つまり、「転出届」は他の市区町村に引っ越しする場合に「現在住んでいる市区町村役場」に届出を行い、引っ越し先の住所地の市区町村役場に対しては、「転入届」を提出する必要があります。
「住民基本台帳第22条」に根拠となる規定
住民票を作成する対象になる外国人は?
住民票の作成対象になる外国人は、適法に3ヶ月を越えて在留する外国人であって、住所を有する者で以下の4つに分類されます。
平成24年の法改正によって
・中長期在留者
・特別永住者
・一時庇護許可または仮滞在許可者
・出生による経過滞在者または国政喪失による経過滞在者は住民票の作成対象になります。
— ひーくん@外国人ビザの専門家 (@coolwork3) January 9, 2019
中長期在留者(在留カード交付対象者)
日本に在留資格をもって在留する外国人であって、3ヶ月以下の在留期間が決定された者や短期滞在・外交・公用の在留資格が決定された者等以外の外国人が住民票の作成対象になります。
在留資格については以下の記事で詳しく解説しています。↓
・外国人の在留資格制度とは?わかりやすく徹底解説します!
特別永住者
入管特例法により定められている特別永住者が住民票の作成対象になります。
改正後の入管特例法の規定に基づき、特別永住者証明書が交付されます。
一時庇護許可または仮滞在許可者
入管法の規定により、船舶等に乗っている外国人が難民の可能性がある場合などの要件を満たすときに一時庇護のための上陸の許可を受けた者(一時庇護許可者)や、不法滞在者が難民認定申請を行い、一定の要件を満たすときに仮に日本に滞在することを許可された者が住民票の作成対象になります。
出生による経過滞在者または国籍喪失による経過滞在者
出生又は日本国籍の喪失により我が国に在留することとなった外国人が住民票の作成対象になります。
外国人が日本で子供を出産した時の手続きについては以下の記事で詳しく解説をしています。↓
・外国人が日本で子供を出産した時の手続きについて解説!
外国人住民にかかる住民票の記載事項は?
外国人住民の住民票も日本人と同様に、「氏名」「生年月日」「男女の別」「住所等の基本事項」「国民健康保険、国民年金等の被保険者に関する事項」が記載されています。
また、日本人と異なる記載事項は、「国籍等」「在留カードに記載されている在留資格」「在留期間」等が記載されています。
住民票と戸籍の違いは?
住民票は法改正によって、外国人にも作成されることになりましたが、戸籍は日本人のみ作成されます。
そのため、外国人には「本籍」がありませんので、注意が必要です。
以下に、住民票と戸籍の違いを簡単に比較しておきます。
住民票
・目的
住民の住居関係を公証する制度
・備え付け
住民基本台帳を市町村に備え付けています。
・記載事項
「氏名」「生年月日」「性別」「世帯主はその旨」「世帯主でない者は世帯主の氏名と続柄」「戸籍の表示」「住民となった年月日」「住所変更した者は、その住所を定めた年月日」「新たに住所を定めた者は、届出年月日・従前の住所」「その他」の事項が記載されています。
・外国人への適用
平成24年(2012年)の法改正によって、外国人にも適用されることになりました。
戸籍
・目的
国民の出生から死亡までの身分関係を公証する制度。(戸籍簿は国民の身分関係を登録する帳簿)
・備え付け
正本を市(区)役所・町村役場に備えています。
また、副本は管轄法務局等で保存されています。
・記載事項
「本籍」「氏名」「出生年月日」「戸籍に入った原因、年月日」「実父母の氏名、実父母との続柄」「養子であるときは、養親の氏名、養親との続柄」「夫婦については夫または妻である旨」「他の戸籍から入った者は、その戸籍の表示」「その他」の事項が記載されています。
・外国人への適用
戸籍は日本人についてのみ作成されます。
入籍届、氏名の変更届等、戸籍制度に特有の事案は外国人には適用されません。
日本人と結婚しても戸籍は作成されない
外国人には戸籍は作成されないということは上述した通りです。
そのため日本人と外国人が結婚した場合、日本人が関わる身分関係については、全て日本人の戸籍に記載されることになります。
つまり、日本人と外国人が結婚したケースでは、日本人の戸籍の身分事項欄に「配偶者の国籍」「氏名」「生年月日」「婚姻の日」などが記載されることになり、外国人本人の戸籍が作られることはありません。
ただし、外国人が帰化をして日本国籍を取得した場合は、戸籍が作成されます。(この場合は、日本人になりますので。)
外国人と日本人が国渣結婚をして日本で生活する場合は、以下の記事も参考にしてください。↓
・外国人と国際結婚!日本人の配偶者等ビザを徹底解説
まとめ
今回は、外国人の住民登録(住民票)について書いてきました。
外国人にとって、住民票は在留資格の更新などでも大切な書類になりますので、引っ越しなどをした場合は、必ず市区町村役場に届出を行い、日本の法律を遵守していくことが大切です。
今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。
外国人の在留カードについても以下の記事で詳しく解説をしていますので参考にしてください。↓