日本には「健康保険」と「国民健康保険」という医療保険の制度が存在しています。
この医療保険は、条件を満たしていれば日本人だけではなく外国人も加入し、日本の医療を受けることができるようになります。
今回は、医療保険である「健康保険」について考えていきたいと思います。
皆様の参考になれば幸いです。
外国人の「国民健康保険」については以下の記事で解説をしています。↓
・外国人の国民健康保険(医療保険)について解説!
健康保険とは?
そもそも健康保険とは、会社等に勤めている従業員や事業者が加入する保険です。
この健康保険は、大企業で働いている従業員等が加入する「組合けんぽ」と、中小企業で働いている従業員等が加入する「協会けんぽ」に分けることができます。
健康保険は、「社会保険」とも呼ばれることがありますが、「社会保険」は「医療保険」「介護保険」「年金保険」「労災保険」「雇用保険」の総称で通常は使われます。
そのため、上述した「健康保険」などの公的医療保険に加入していない方は、国民健康保険に加入することになります。
具体的には、
自営業者や農業従事者、フリーター等の方が「国民健康保険」の主な加入者になってきます。
「健康保険」や「国民健康保険」に加入することで、医療費等の自己負担額が軽減され、良質で高度な医療を受ける機会を平等に受けることができる仕組みとなっています。
健康保険の加入義務がある外国人は?
健康保険への加入が義務付けられている会社等で働いている場合、以下のケースに当てはまる場合は、健康保険に加入する必要があります。
1、正社員、法人の代表者、役員
2、以下の(1)〜(5)の5つの条件を全て満たしている場合
(1)1週間の決まった労働時間が20時間以上
(2)勤務期間が1年以上見込まれる
(3)毎月の給料を8、8万円以上受けて取っている
(4)学生以外の者
(5)従業員501人以上の会社に勤務している
上記(1)〜(5)を全て満たしている場合は、健康保険に加入する必要があります。
3、パートタイマー、アルバイト等で、週の労働時間が30時間未満の場合であっても、同じ会社の正社員の1週間の決まった労働時間の4分の3以上働いている
上記のようなケースでは、「健康保険」に加入することが求められます。
外国人の健康保険の保険料は?
外国人であるからといって、日本人と異なる扱いを受けるということはありません。
そのため、健康保険の保険料は、原則として会社と健康保険に加入している外国人が半分ずつ負担することになります。
また、健康保険に加入している方に扶養されている被扶養者の方は、保険料の負担はありません。
健康保険料は、毎月の給料から天引きされていることが一般的です。
健康保険料については、標準報酬月額によって、保険料率が変わってきますので、全員が同じ額を支払っているということではありません。
健康保険の給付内容は?
外国人が健康保険に加入することで受けることができる給付について代表的なものを以下に書いていきます。
概ね国民健康保険と同じような内容で医療保険制度を利用することができるようになります。
保険を利用した医療費の一部負担
例えば、
・6歳(義務教育就学前)未満:2割
・ 70歳未満:3割
・ 70歳から74歳まで:2割(現役並所得者は3割)
などのように医療費の負担が一部負担になります。
高額療養費
病院や薬局の窓口で支払った額が、1か月で一定額を超えた場合、その超えた金額を支給する制度です。
最終的な自己負担額となる毎月の「負担の上限額」 は、加入者が70歳以上かどうか、加入者の所得水準によって異なってきますので注意が必要です。
傷病手当金
健康保険の加入者が病気やけがなどのために働くことができなくなり、仕事を連続して3日間休み、4日目以降の休んだ日に対して支給されます。
傷病手当金が支給される期間は、支給開始日から数えて最長で1年6か月です。
出産育児一時金
健康保険の加入者、又はその被扶養者が出産したときは、出産に必要となる経済的負担を軽減するために支給される制度です。
支給額は1児につき原則として42万円です。
出産育児一時金など、外国人が日本で出産した時の手続きについては、以下で解説をしていますので、参考にしてください。↓
・外国人が日本で子供を出産した時の手続きについて解説!
出産手当金
健康保険の加入者が出産のため会社を休んだときは、原則、出産(予定)の日以前42日から出産後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として出産手当金が支給されます。
在留資格更新時には社会保険の未納は厳しく審査される
納税や社会保険等に加入していない場合など、その状況が悪質である場合は、在留期間の更新や在留資格の変更の際に、申請人である外国人本人に不利益な処分を受ける可能性があります。
そのため、しっかりと制度を把握し、日本の法律を順守していくことが求められます。
まとめ
今回は、外国人の健康保険について考えてきました。
日本の医療保険制度には「健康保険」と「国民健康保険」があるということがます、理解し、その違いを把握することが大切です。
今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。
外国人が日本で働く前に知っておきたい基礎知識については、以下の記事で書いています。↓
・外国人が雇用される(労働する)前に知っておきたい基礎知識