外国人が日本に来て生活をしている中で、病気やケガなどをした場合に、医療保険の制度を利用して医療を受けることができます。
今回は、外国人の医療保険(国民健康保険)について考えていきたいと思います。
皆様の参考になれば幸いです。
外国人が日本で働く前に知っておきたい基礎知識については、以下の記事で書いています。↓
・外国人が雇用される(労働する)前に知っておきたい基礎知識
医療保険とは?
そもそも医療保険とは、日本人であるかどうかを問わず、国籍に関係なく公的医療保険に加入することで、病気やケガをした場合に、保険を使うことで日本の医療を受けることができるようになるものです。
通常は、医療機関の窓口などで自身の保険証を提示することによって、一定の割合を自己負担することで、医療を受けることができます。
ただし、日本と医療保険を含む社会保障協定を締結している国の外国人で、その国から社会保険加入証明書の交付を受けている場合は、日本の医療保険制度に加入する必要がないケースもありますので、注意が必要です。
在留期間が3ヶ月を超える場合は医療保険に加入
日本で活動をするためには、在留資格を付与され、その付与された在留目的にあった活動をしなければなりません。
そして、住民登録を行い、在留期間が3ヶ月を超える外国人は医療保険に加入する必要があります。
外国人の在留資格全般については、以下の記事で解説をしています。↓
・外国人の在留資格についてわかりやすく解説します!
それでは、以下で「国民健康保険」について考えていきたいと思います。
国民健康保険
「技術・人文知識・国際業務」などの就労系の在留資格などで企業に雇用されている場合は、「健康保険」に加入することになると思います。
国民健康保険は、日本で住民登録を行なっている場合で、雇用先の健康保険の対象になっていない75歳未満のケースで、国民健康保険に加入することになります。
また、外国人の方の場合は、以下のケースに該当する場合を除いて、国民健康保険に加入する必要があります。
1、在留期間が3ヶ月以下
2、在留資格が「短期滞在」
3、在留資格が「特定活動」のうち、「医療を受ける活動」又は「その方の日常の世話をする活動」
4、在留資格「特定活動」のうち、「観光、保養その他これらに類似する活動」
5、在留資格が「外交」
6、不法滞在などで在留資格がない
7、日本と医療保険を含む社会保障協定を結んでいる国の外国人で、本国政府から社会保障加入証明書(適用証明書」の交付を受けている
上記ケースに該当する場合は、国民健康保険に加入する必要はありませんが、該当しない場合は国民健康保険に加入する必要があります。
ただし、在留期間が3ヶ月以下の場合でも、在留資格が「興行」「技能実習」「家族滞在」「特定活動」のケースでは、資料によって証明することで3ヶ月を超えて在留すると認められると国民健康保険に加入することができます。
国民健康保険の加入手続きは?
国民健康保険に加入する場合は、住んでいる市町村で手続きを行うことになります。
国民健康保険に加入する際には、
「在留カード」や「パスポート」、会社を退職した場合は、「社会保険資格喪失証明書」や「離職票」「退職証明書」「源泉徴収票」などの書類が必要になります。
国民健康保険に加入するために必要な書類については、各市町村で事前に問い合わせて確認しておくことをおすすめします。
また、現在の住所から別の市町村に引っ越しをする場合などは、14日以内に国民健康保険への加入手続きをする必要があります。
外国人の方の引っ越しなどの住民登録については、以下の記事を参考にしてください。↓
・外国人も住民登録が必要?!住民票について徹底解説します!
国民健康保険の保険料は?
国民健康保険の保険料は、加入している方の所得などによって決定されることになります。
そのため、世帯ごとに保険料が異なってきます。
また、保険料の計算は世帯ごとに合計され、世帯主が保険料を納める義務があります。
さらに、国民健康保険に加入している方が40歳になった月からは、介護保険料が月割りで加算されますので、注意が必要です。
介護保険料については、40歳になった月の翌月に、保険料変更通知書が市町村から送られてくることになっています。
国民健康保険ではどのような給付を受けられる?
外国人が国民健康保険に加入することで受けることができる給付について代表的なものを以下に書いていきます。
療養給付
例えば、病気やケガをした時に病院などで治療を受ける際に、受付に保険証を提示することで、医療費が一部の負担で済ませることができます。
以下、一部負担の割合です。
・6歳(義務教育就学前)未満:2割
・70歳未満:3割
・70歳以上から75歳未満
現役並み所得者以外で1944年4月1日以前生まれの方:1割
現役並み所得者以外で1944年4月1日以降生まれの方:2割 現役並み所得者の方:3割
が自己負担割合になります。
ちなみに、75歳以上は、後期高齢者医療制度が適用されますので、原則1割負担とされます。
<参照:公益社団法人 国民健康保険中央会より>
高額療養費
高額療養費は、医療機関や薬局などで支払った金額が、1ヶ月で一定の金額を超えた場合、その超えた金額を支給してくれる制度です。
負担する金額の上限は、加入している方の所得水準などで異なりますので、注意が必要です。
厚生労働省のホームページで高額療養費についての説明もされているので、参考にしてみてください。↓
出産育児一時金
出産育児一時金は、国民健康保険に加入している方が、出産した時に、原則として42万円が支給される制度です。
出産育児一時金には、「直接支払制度」や「受取代理制度」などの支払制度があります。
出産育児一時金など、外国人が日本で出産した時の手続きについては、以下で解説をしていますので、参考にしてください。↓
・外国人が日本で子供を出産した時の手続きについて解説!
まとめ
今回は、外国人の国民健康保険について考えてきました。
最近では、国民健康保険の制度を悪用するというケースも起こっていますので、しっかりと法律を順守した上で、制度が利用されることを望みます。
今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。
外国人の健康保険については、以下の記事で解説をしています。↓
・外国人の健康保険についてわかりやすく解説!