外国人を雇用したいと思っている会社は多く存在しています。
しかし、外国人を雇用するためには、一般的に在留資格の活動目的にあった業務に従事をさせる必要があります。
在留資格に関する法律は「出入国管理及び難民認定法」で規定されおり、違反した場合は当然処罰の対象になります。
そこで、今回は、外国人を雇用したいと考えている方が知っておくと良い役立つことを書いていきます。
皆様の参考になれば幸いです。
外国人留学生を新卒で雇用したい場合は、以下の記事も参考にしてください。↓
・外国人留学生を新卒で採用したい!注意すべきことについて
外国人の雇用状況は?
平成29年10月時点のデータですが、「厚生労働省」の発表では、事業主に雇用されている外国人労働者数( 特別永住者、在留資格「外交」・「公用」の者を除く。) は約128万人となっています。
以下、厚生労働省のホームページに詳細が掲載されていますので、参照してください。↓
外国人を雇用する際に注意しておきたいこと
外国人を雇用することによって、海外進出の足がかりになったり、労働力の確保など多くのメリットがありますが、注意しておかなければならないことも沢山あります。
文化や風習の違い
日本で生活をしている私たちが常識だと思っていることが、他の国では常識ではないということは当然存在しています。
そのため、考え方などの違いから衝突をしてしまうということありますので、文化の違いによって考え方も違うということをあらかじめ理解しておくことが求められます。
例えば、中国の場合は旧正月というものがあり、日本では平日であっても、とても大切な日になるため、長期休暇を希望する外国人も多くいます。
そのような文化や風習をしっかりと理解することが大切です。
コミュニケーション
最近では日本語を勉強してある程度の意思疎通をすることができる外国人も多くなってきていますが、それでも全ての日本語を理解できていない可能性もあります。
異国の地で働くということは、大きな不安の中で働くことになりますので、しっかりとコミュニケーションを取り、コミュニケーションをしっかりとってあげることを忘れてはいけません。
宗教
外国人の中には、宗教を信仰しており、食べられないものがあったり、決まった時間に礼拝を行うなど、宗教上の理由で決まった行動などをしなければならないことがあります。
そのような、行動に対して、雇用主はしっかりと理解をすることが必要ですし、職場の同僚などにも理解をしてもらうようにしなければなりません。
当然日本でも、日本国憲法で認められているように、「信教の自由(参照:日本国憲法第20条)」が保証されています。
外国人を雇用するためには在留資格が必要
日本で中長期的に滞在して生活をする外国人には、在留資格が与えらえ在留カードが発行されます。
そのため、外国人を雇用する場合は、与えられた在留資格の目的にあった業務に従事させなければなりません。
「在留資格」「在留カード」については以下の記事で詳しく解説をしています。↓
・外国人の在留資格についてわかりやすく解説します!
・外国人の在留カードについてわかりやすく解説します!
仮に、在留資格の活動目的以外の業務に従事させた場合は、「不法就労」として雇用主側も罰せられる可能性がありますので注意が必要です。
ただし、身分系の在留資格である「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」は就労制限はありませんので、雇用する側はどの業務に従事させても問題はありません。
「不法就労」については以下で詳しく解説をしています。↓
・罪に問われる?!不法就労の外国人を雇わないために
つまり、外国人を雇用する場合は、在留資格と在留カードをしっかりと確認する必要があるということです。
また、外国人を雇用した場合は「外国人雇用状況の届出」を行うことも忘れないようにしなければなりません。
「外国人雇用状況の届出」については以下の記事で詳しく解説をしています。↓
・外国人の雇用状況の届出って何?わかりやすく解説します!
どのような在留資格であれば働くことができるの?
上述した通り、外国人を雇用する場合は、与えられた在留資格の目的にあった仕事をさせる必要があります。
身分系の在留資格である「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」は就労制限はありませんので、この4つの在留資格を除いて考えていきたいと思います。
サラリーマン(ホワイトカラー)は技術・人文知識・国際業務
会社で働く会社員(サラリーマン)として雇用される場合には、一般的には「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得することになります。
しかし、注意しなければならないことは、サラリーマンであれば、全ての業務が「技術・人文知識・国際業務」ビザで取得できるということではないということです。
そのため、会社で従事する業務と大学等で学んだ履修科目などの関連性が求められます。
また、「単純労働」も認められていませんので、専門的な知識などが必要になるホワイトカラーのような業務に従事させる必要があります。
そして、当然雇用契約を締結して、日本人に支払う給与と同等の給与水準が必要になりますので、不当に安い賃金で雇用することは認めらていません。
「技術・人文知識・国際業務」ビザについては、以下で詳しく解説をしています。↓
・徹底解説!「技術・人文知識・国際業務」の7つのポイント
会社を経営する(経営管理)
会社を経営する場合は、「経営管理」ビザが必要になります。
そのため、「技術・人文知識・国際業務」ビザでサラリーマンとして働いていた外国人が会社を経営する場合は、在留資格変更認定申請を行い「経営管理」ビザに変更しなければなりません。
「経営管理」ビザを取得するためには、事業計画書などを提出し、事業の継続性を立証し、資本金を500万円以上で会社を設立するなど、様々な条件をクリアしていくことが求められます。
また、外国人を雇用する事業主も「経営管理」ビザを持っている外国人を雇用して働かさることはできないので、「技術・人文知識・国際業務」ビザに変更可能かどうか検討する必要があります。
「経営管理」ビザについては以下で詳しく解説をしています。↓
・日本で起業!経営管理ビザについて徹底解説!
料理人やコックの雇用は技能
料理人やコックとして外国人を雇用したい場合は、「技能」ビザを取得することになります。
「技能」ビザは経験が重要視されますので、原則10年以上の実務経験(専門学校で学んでいた期間も含まれる)が必要になります。
ただし、タイ料理人は日タイEPA附属書7第1部A第5節1(c)の例外によって5年の実務経験で認められます。
また、「技能」ビザで雇用する場合は、その外国人の母国の専門料理であることが求められますので、インドカレーの料理人を和食の料理人として雇用することはできませんので注意が必要です。
「技能」ビザについては以下で詳しく解説をしています。↓
・外国人の料理人を雇用したい!技能ビザについて徹底解説
留学・家族滞在ビザの外国人は資格外活動
外国人留学生や「家族滞在」ビザで日本に来ている外国人は原則的には就労は認められていません。
しかし、資格外活動の許可を受けることによって、週28時間以内で「アルバイト」や「パート」として就労することが認められます。
また、就労できる時間以外にも風俗営業等では就労ができないなど一定の制限がありますので、注意が必要です。
資格外活動の許可については以下で詳しく解説をしています。↓
・資格外活動って何?留学生をアルバイトで雇用する時の注意点
その他在留資格
上記在留資格以外にも、インターンシップやワーキングホリデーなどの「特定活動」ビザや、「技能実習」のビザ、「特定活動」のビザなども一定の条件の下で就労を行うことができます。
就労ビザの更新は3ヶ月前から可能
在留資格には在留期限が設けられていますので、期限が終了する前までに、必ず在留資格更新許可申請を行う必要があります。
在留資格の変更を忘れていて、在留期限が切れた後も雇用して働かせていた場合は、「不法就労」として事業主も罰せられますので注意が必要です。
そのため、外国人社員の就労ビザの更新は、会社側でもしっかりと管理するなど、更新手続きを忘れないようにする工夫を行う必要があります。
3ヶ月前から更新申請は可能なので、在留期限ギリギリで更新して、書類不備で受理されなかったということにならないように、時間には余裕を持って更新手続きを行うようにしましょう。
就労ビザの更新は転職しているかどうかで難易度が変わる
「就労ビザ」の更新には、大きく分けて2つに分類することができます。
一つは前回申請をした時と、職務内容など何も変わっていない更新申請です。
もう一つは、転職をしていたり、前回と職務内容が変わっている場合の更新申請です。
会社も何も変わっていない場合は比較的スムーズに更新できる
前回申請した時の内容にもよりますが、更新申請の時に、「前回と同じ会社に勤務」「同じ仕事内容を行なっている」「今後も同じ会社で働く」など何も変わっていない場合は、比較的スムーズに更新申請をすることができます。
転職などをしている場合
前回申請をした時から、転職をしている場合は、更新申請ではありますが「新規申請」と同じような審査となりますので、少し難易度があがります。
また、審査期間も通常の更新申請よりも長くなることが一般的ですので、時間には余裕を持って申請することをオススメします。
ただし、「就労資格証明書」を転職入社時に入国管理局から受けている場合は、比較的スムーズに更新申請をすることができます。
「就労資格証明書」については以下で詳しく解説をしています。↓
・就労資格証明書とは?外国人の雇用時に知っておきたいこと
外国人社員が家族を呼びたい場合
日本でサラリーマンとして働いている外国人社員が家族を日本に呼びたいという相談を事業主は受ける可能性もあります。
その場合は、「家族滞在」ビザを取得して、家族を呼ぶことになります。
ただし、この「家族滞在」ビザは、両親や兄弟姉妹を呼ぶことはできませんので、外国人従業員にはしっかりと説明をしてあげる必要があります。
あくまでも呼べる範囲は「配偶者」「子供」です。
「家族滞在」ビザについては、以下で詳しく解説をしています。↓
・日本で一緒に暮らしたい!家族滞在ビザについて徹底解説
まとめ
今回は、外国人を雇用する時に注意しておきたいことについて考えてきました。
外国人を雇用するにあたっては、法令遵守(コンプライアンス)などを徹底し、外国人と事業主お互いが気持ちよく働くことができる環境を作ることが大切です。
また、雇用している外国人がオーバーステイしてしまわないように、しっかりとチェックをする体制も整えておくことも求められます。↓
今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。