日本に就労目的で来日した外国人の方などは、長期に渡って日本で生活をすることになります。
日本で生活する外国人の数は年々増加しており、日本国内で外国人や日本人と結婚をして、そのまま拠点を日本に移し、生活を続けていくことというケースが今後も増えていくと考えられます。
そこで、今回は日本を拠点に生活をしている外国人が知っておきたい雇用(労働)の基礎知識について考えていきたいと思います。
皆様の参考になれば幸いです。
外国人の雇用を検討している場合は、以下の記事も参考にしてください。↓
・外国人を雇用したい!知っておきたいポイントを解説します!
在留資格について
日本で生活をして雇用されて労働をする場合は、当然在留資格を確認する必要があります。
日本で生活をする外国人は許可された在留資格の範囲内において、活動をすることが認められているからです。
就労できるかどうかに着目をして考えると、大きく3種類に分けることができます。
外国人の在留資格全般については、以下の記事で解説をしています。↓
・外国人の在留資格についてわかりやすく解説します!
在留資格で定められた範囲で就労できるもの
外交,公用,教授,芸術,宗教,報道,高度専門職,経営・管理,法律・ 会計業務,医療,研究,教育,技術・人文知識・国際業務,企業内転勤, 介護,興行,技能,特定技能,技能実習,特定活動(ワーキングホリデー, EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士など)
などの在留資格では定められた範囲で就労が認められています。
原則として就労が認められない在留資格
などの在留資格では原則就労が認められていません。
ただし、資格外活動許可を取得した場合は、例外的にアルバイトなどの就労が認められます。
資格外活動の許可については以下で詳しく解説をしています。↓
・資格外活動って何?留学生をアルバイトで雇用する時の注意点
就労活動に制限のない在留資格
などの在留資格では、就労制限がありませんので、日本人と同様に労働をすることが可能です。
外国人が日本で働く前の基礎知識
外国人が日本で働く場合に知っておきたい基礎知識について以下に書いていきます。
労働契約について
日本の労働基準法では、労働契約を結ぶ時に、会社側(雇用主)が労働者に対して労働条件を明示することを義務付けています。
また、特に重要な項目として、以下の項目については、会社側は労働者に対して原則として書面を交付することで明示しなければならないとされています。
原則労働条件を書面で交付すべき項目について
原則書面で交付しなければならい項目は以下のとおりです。
1、契約期間に関すること
契約はいつからいつまでか?ということを明示する必要があります。
労働契約を結ぶ時には、契約期間が決まっている場合と、契約期間が決まっていない場合があります。
そのため、「社員」、「契約社員」、「パート」、「アルバイト」などの働き方の名前だけでは、契約期間の定めがあるか ないかは判断できませんので、働き方の名前だけではなく、契約期間そのものについてしっかり確 認しておくことが必要です。
2、契約の更新があるかないか、更新する場合はどのように判断するのか
雇用期間が決まっている労働契約を結ぶ時は、契約の更新についての決まりについて、しっかりと確認をしておく必要があります。
3、労働する場所、労働の内容
どこでどのような仕事をするのか?ということをしっかりと確認しておくことが必要です。
4、仕事の始まり時刻と終わりの時刻など
仕事の時間や休みについての決まり(残業の有無、休憩時間、休日や休暇、交替制勤務の場合はローテーションなど)について、しっかりと確認しておく必要があります。
5、賃金の額や支払い方法など
労働の対価として、賃金の支払い額、計算方法、支払い方法、計算期間、支払い時期などについてもしっかりと確認しておく必要があります。
上記事項以外にも、労働契約法によって使用者と労働者はできる限り書面で確認する必要があると定められていますので、労働契約の内容については、しっかりと確認しておくことが求められます。
また、就労目的以外で外国人を雇用した場合は、罰則がありますので雇用する時、雇用される時は注意が必要です。
罰則については、以下の記事を参考にしてください。↓
・罪に問われる!?不法就労の外国人を雇わないために
社会保険について
企業などに雇用されて働く場合は、各種保険に加入するケースもあります。
最低限知っておきたい代表的な社会保険を以下に記載していきます。
雇用保険
雇用保険は、失業した場合などに、生活の安定と就職の促進のための失業等給付を行う保険制度です。
雇用保険の加入対象は、
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・31日以上の雇用の見込みがある場合は、「派遣社員」、「契約社員」、「 パートタイム労働者やアルバイト」
上記2つの条件を満たしている場合は、適用対象になります。
また、雇用保険の保険料は労働者と会社の双方が負担することになります。
労災保険
労災保険は、労働者の業務が原因のケガや病気、死亡、、通勤途中の事故などの場合に、国が必要な保険給付を行う公的な制度です。
労災保険は、原則労働者を1人でも雇用する場合は、労災保険制度の加入手続きを行う義務があり、保険料は原則会社側が負担することになります。
健康保険・国民健康保険について
健康保険・国民健康保険は、労働者やその家族が、けがや病気をしたときや、出産をしたとき、亡くなったときなどに必要な医療給付や手当金の支給をすることで生活を安定させることを目的とした社会保険制度です。
風邪などをひき、病院に行くときに持って行く保険証は、健康保険・国民健康保険に加入することで受け取ることができるようになります。
健康保険・国民健康保険に加入することで、本人が病院の窓口で払う額が原則治療費の3割となります。
ただし、75歳以上の場合は、後期高齢者医療制度の被保険者になりますので、原則1割負担となります。
健康保険
通常就職した場合(法人の事業者や一定の業種で、常時5人以上を雇用する個人事業者)では、健康保険は強制適用となります。
また、派遣社員、契約社員、パートタイム労働者、アルバイトでも、1週間の所定労働時間及び1ヶ月の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上のケースでは、健康保険に加入する必要があります。
ただし、上記4分の3未満のケースでも、以下の5つの条件を満たす場合は、健康保険に加入する必要が出てきます。
・ 週の所定労働時間が20時間以上であること
・ 月額賃金が8.8万円以上であること
・ 勤務時間が1年以上見込まれること
・ 学生でないこと
・ 従業員501人以上の規模である企業に使用されていること(500人 以下の企業でも労使合意があれば、その労働者は健康保険の加入対象)
上記5つの条件を満たす場合は、健康保険に加入する必要があります。
健康保険料は、原則として会社側と労働者で半々で負担することになります。
外国人の健康保険については、以下の記事で解説をしています。↓
・外国人の健康保険についてわかりやすく解説!
国民健康保険
国民健康保険は、自営業者など健康保険の加入対象とならない労働者で、日本に住所を有する場合は、国民健康保険の加入対象となります。
この場合は、外国人自らが市町村で国民健康保険の加入手続きを行う必要があります。
国民健康保険料は健康保険とは異なり、世帯主が全額を負担しなければなりません。
また、国民健康保険料は、各市町村で異なりますので、注意が必要です。
外国人の「国民健康保険」については以下の記事で解説をしています。↓
・外国人の国民健康保険(医療保険)について解説!
また、外国人が子供を出産した時の手続きについては、以下の記事も参考にしてください。↓
・外国人が日本で子供を出産した時の手続きについて解説!
国民年金・厚生年金保険について
国民年金・厚生年金保険は、労働者が高齢となったり、何らかの病気やけが によって身体に障害が残ってしまったり、労働者が亡くなりその遺族が困窮するといった事態などのケースで、保険給付を行い、労働者とその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的としています。
厚生年金
厚生年金は、健康保険と同じように、法人の事業所や一定の業種で常時5人以上を雇用する個人事業所では強制適用になっています。
また、上述した1週間の所定労働時間などが4分の3以上の場合は厚生年金に加入する必要があるなどの条件も同じです。
国民年金
国民年金の保険料は、定額となり、被保険者が全額を負担することになります。
まとめ
今回は、外国人が日本で働く時に知っておきたい基礎知識について考えてきました。
日本で生活をする外国人が多くなるにつれ、会社側も人材として雇用契約を締結するケースも多くなってきます。
雇用する側も雇用される側もしっかりとした知識を持って、就業していくことが望まれます。
今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。
外国人を雇用した時は、雇用状況の届出を行う必要がありますので、以下の記事を参考にしてください。↓