外国人同士が日本で子供を出産した場合は、日本人同士が子供を出産した時とは異なる手続きを行う必要があります。
今回は、子供を出産した後に慌てないために、外国人が日本で子供を出産した時の手続きについて解説をしていきます。
皆様の参考になれば幸いです。
国際結婚をして、日本で生活をする場合は、以下の記事も参考にしてください。↓
・外国人と国際結婚!日本人の配偶者等ビザを徹底解説
外国人が日本で子供を出産した時の手続きは?
外国人が日本で子供を出産した場合に、どのような手続きが必要になるのか考えていきます。
外国人同士が結婚して日本で子供を出産した場合
・出生届の提出
・30日以内に在留資格取得申請
・駐日日本大使館や領事館での手続きなどが必要になります。
— ひーくん@外国人ビザの専門家 (@coolwork3) January 7, 2019
①出生届を提出
子供を出産したら、出生の日から出生の日を含めて14日以内に出生した子の本籍地、もしくは届出人の所在地、または出生地の市区町村役所に提出をしなければなりません。
ただし、外国人の場合は、本籍がありませんので、届出人の所在地・出生地の市区町村役所に提出をすることになります。
出生届の届出ができる人
出生届の届出ができる人は、
・子供の父または母
ただし、父または母の届出が不可能な場合は、同居者、出産立会人(医師、助産師又はその他の者)の順序に従い、届出ができます。
また、届出書をお持ちになるのは上記以外の方でもかまいませんが、届出人欄には上記の方が署名・押印が必要になります。
必要書類について
出生届を提出するための必要書類は
1、出生届書・出生証明書
※病院等で発行されます。
※出生証明書は出生届出書と一体となって印刷されており、医師等により記載されます。
出生届は、法務省のホームページにも例が掲載されていますので、参考にしてください。↓
・法務省 出生届
2、届出人の印鑑
3、母子健康手帳
4、国民健康保険証(加入者のみ)
②在留資格の申請が必要
日本で出生した子供で、日本国籍を持っていない場合は、在留資格の取得申請を行う必要があります。
つまり、日本で子供を出産したとしても、外国人同士が結婚した場合は、子供は日本国籍を取得できませんので、在留資格の申請を行わなければなりません。
ここで注意しなければならない点は、「国籍法第2条1号」の規定では、父親又は母親のいずれかが日本国籍を有する場合、生まれた子供は日本国籍を取得しますので、「出入国管理及び難民認定法」では外国人ではありません。
そのため、二重国籍になるという問題は起こり得ますが、「出入国管理及び難民認定法」では外国人ではありませんので、在留資格の申請をする必要はなくなります。
ただし、出生後に日本国籍を喪失した場合は、外国人夫婦が子供を出産した時と同様に、在留資格の取得申請が必要になります。
在留資格制度一般については、以下の記事で詳しく解説をしています。↓
・外国人の在留資格制度とは?わかりやすく徹底解説します!
30日以内に在留資格取得申請
外国籍の子供を日本で出産した時は、出生の日から30日以内に、「住居地を管轄する地方入国管理官署」に対して在留資格の取得申請を行う必要があります。
ただし、「出入国管理及び難民認定法」では、出生の日から60日は、在留資格を有することなく日本在留することができる。と規定されていますので、出生した日から60日以内に日本から出国する場合は、在留資格の取得申請をする必要はありません。
つまり、出生の日から60日を超えても日本で生活をする場合は、出生の日から30日以内に、在留資格の取得申請を行わなければならないということです。
以下、根拠となる「出入国管理及び難民認定法第22条の2第1,2項」の条文を掲載しておきます。
出入国管理及び難民認定法第22条の2第1,2項
日本の国籍を離脱した者又は出生その他の事由により前章に規定する上陸の手続を経ることなく本邦に在留することとなる外国人は、第二条の二第一項の規定にかかわらず、それぞれ日本の国籍を離脱した日又は出生その他当該事由が生じた日から六十日を限り、引き続き在留資格を有することなく本邦に在留することができる。
2 前項に規定する外国人で同項の期間をこえて本邦に在留しようとするものは、日本の国籍を離脱した日又は出生その他当該事由が生じた日から三十日以内に、法務省令で定めるところにより、法務大臣に対し在留資格の取得を申請しなければならない。
申請ができる人は?
上述した通り、子供の出生の日から30日以内に、在留資格の取得申請を行う必要があり、申請ができる人は以下の通りになります。
1、申請人本人の法定代理人
2、地方入国管理局長に届け出た弁護士又は行政書士で,申請人から依頼を受けたもの
などが申請をすることができます。
申請に必要な書類は?
在留資格取得申請に必要となる書類は、以下の通りです。
1、在留資格取得許可申請書(在留資格取得許可申請書ひな形)
2、出生したことを証する書類(出生証明書・出生届受理証明書・母子手帳など)
3、出生した子を含む世帯全員が記載された住民票
4、質問書
5、出生した子のパスポート原本(パスポートがある場合)
6、両親のパスポートのコピー
7、両親の在留カードのコピー
8、両親の在職証明書
9、両親の住民税課税証明書、納税証明書
10、身元保証書
などが必要になります。
なお、必要に応じて適宜上記以外の追加書類が求められることもあります。
取得できる在留資格(ビザ)について
出生した子供が取得することができる在留資格は、通常は親の在留資格及び在留期間に応じて決定されることになります。
例えば、
父親又は母親が「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザで、在留期間が3年の場合は、3年の「家族滞在」の在留資格が与えられることが一般的です。
また、父親又は母親が「永住者」の場合は、「永住者」の在留資格の取得が許可されることが一般的です。
つまり、両親が持っている在留資格によって、子供の在留資格が決定されます。
両親が「定住者」なら子供も「定住者」、「日本人の配偶者等」なら、子供も「日本人の配偶者等」ということです。
③子供が取得する国籍の属する国の駐日大使館・領事館で手続き
子供を出産後、子供が取得する国籍の大使館・領事館に出生の届出を行い、旅券(パスポート)を発給してもらうことになります。
ただし、この手続きは国によって必要書類が異なったり、そもそも本国でした手続きを受け付けてくれない場合があったりと、手続き方法などが異なってきますので、事前に確認をしておくことをオススメします。
外国人が子供を出産前にすべき手続きは?
上述した、「出生届の提出」「在留資格の申請」「大使館・領事館での手続き」は、子供を出産した後についての手続きでした。
以下では、子供を出産する前にしておきたい手続きについて書いていきます。
①母子健康手帳をもらう
住民登録のある役所で「妊娠届」を提出すれば、「母子健康手帳」を受け取ることができます。
ただし、市町村によっては必要な書類が異なりますので、事前に確認をしておくことをオススメします。
この母子健康手帳は日本語で作られていますが、市町村によっては外国語の母子健康手帳をもらえることもあります。
例えば、大阪市だと
英語、中国語、ハングル語、タイ語、スペイン語、ポルトガル語、タガログ語、インドネシア語、ベトナム語
の母子健康手帳をもらうことが可能です。
母子健康手帳をもらうことによって、妊婦にとっては、妊婦健康診査の受診券や補助券を受け取ったり、 様々な母子保健サービスを案内してもらったりするなどのメリットを受けることができるようになります。
行政にとっても、地域の妊婦の状況を把握し、母子保健サービス、各種子育て支援サービス、 福祉制度も含めた支援につなげていくためのきっかけとなります。
また、育児休暇の申請をする際にコピーの提出を求められたりと、必要になることが多いですので大切に保管すべきものになります。
母子健康手帳については、厚生労働省のホームページでも、「記載様式」や「活用例」が掲載されていますので、参考にしてください。
②出産育児一時金の手続き
日本で出産をするためには、約50万円程度必要になると言われています。
そのため、出産育児一時金を利用することによって、出産費用として約40万円を受給することができます。
ただし、出産育児一時金を申請するためには、国民健康保険や健康保険に加入しておくことが必要です。
日本に在留資格を持って長期に滞在する外国人は、国民健康保険に加入する義務がありますので、外国人だからといって出産育児一時金をもらうことができないということはありません。
出産前に病院などの医療機関で手続きをすれば、分娩費用として支払いを受けることができます。
また、出産育児一時金には「直接支払制度」や「受取代理制度」などの制度があります。
直接支払制度とは
出産育児一時金の請求と受取りを、妊婦などに代わって医療機関などが行う制度です。
出産育児一時金が医療機関などへ直接支給されるため、退院時に窓口で出産費用を全額支払う必要がなくなります。
受取代理制度とは
妊婦などが加入する健康保険組合などに出産育児一時金の請求を行う時に、出産する医療機関などにその受取りを任せることで、医療機関などへ直接出産育児一時金が支給される制度です。
また、外国人の「国民健康保険」と「健康保険」については、以下の記事で解説をしています。↓
・外国人の健康保険についてわかりやすく解説!
・外国人の国民健康保険(医療保険)について解説!
その他の手続きについて
子供を出産した時は、それぞれの家庭環境によってできる手続きが異なります。
その中でも代表的なものをいくつか最後にあげておきます。
出産手当金
健康保険の加入者本人が出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けられない場合は、出産(予定)の日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産日後56日までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として出産手当金が支給されます。
出産日は出産の日以前の期間に含まれます。
また、出産が予定日より遅れた場合は、その遅れた期間についても出産手当金が支給されます。
育児休業給付金
雇用保険の加入者が、1歳(一定の要件に該当した場合は1歳2か月。さらに一定の要件に該当した場合は1歳6か月又は2歳)に満たない子を養育するための育児休業を取得し、育児休業中の賃金が休業開始時の賃金と比べて80%未満に低下したなど一定の要件を満たした場合は、ハローワークへの支給申請により育児休業給付金が支給されます。
児童手当
所得制限があったり、在留資格を持っていない外国人には支給されないなどの条件はありますが、原則的に15歳に達する日以後の最初の3月31日(中学校修了)までのお子さんを養育している方には、児童手当(3歳未満は1万5千円)が支給されます。
初めて子供を出産した場合は、住所地を管轄する市区町村に、出生により受給資格が生じた日の翌日から15日以内に申請をすることで、児童手当を受けることができます。
その他、手続き以外にも妊娠出産に関する知識は知っていて損はないので、書籍等からも情報を収集しておくことをお勧めします。
まとめ
今回は、外国人が子供を日本で子供を出産した時の手続きについて書いてきました。
子供を妊娠して、出産するまでは慌ただしくなりますので、必要な手続きを忘れていた。ということにならないために、事前に何が必要なのか確認をしておくことをオススメします。
また、出産後は様々なベビー用品も必要になりますので、事前に準備しておくことも必要ですので、必要になりそうなものを整理しておくことも重要です。
今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。
外国人の在留カードについては、以下の記事で詳しく解説をしていますので、参考にしてください。↓