不法滞在(オーバーステイ)が発覚した時の対応について解説

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日本で生活をしている外国人は、在留資格を取得してその資格の目的の範囲内で活動を行うことになります。

この、在留資格には有効期限があり、期限が終了するまでに更新や在留資格の変更を行うなどの手続きをしなければなりません。

しかし、在留資格の更新や変更手続きをしないまま、期限が満了したにもかかわらず、日本に滞在し続けている場合は、不法滞在(オーバーステイ)となり不利益を受けることになります。

そこで、今回は、不法滞在(オーバーステイ)について書いていきます。

皆様の参考になれば幸いです。

在留資格一般については、以下の記事で詳しく解説をしています。↓
外国人の在留資格制度とは?わかりやすく徹底解説します!

不法滞在とは?

不法滞在とは?

オーバーステイをしてしまうことは、不法滞在になりますが、この「不法滞在」には大きく3つの意味があります。

不法入国者

不法入国とは、例えば法律で定められた手続きを取ることなく不正な方法を使って日本に入国し、滞在することを言います。

偽造パスポートを使用して入国したり、密航など不正な方法で入国する場合などが考えられます。

不法上陸者

例えば、入国審査官の上陸許可等を受けずに日本に上陸した場合などが考えられます。

不法残留者

不法残留とは、例えば、有効な在留資格(ビザ)が発行されているにもかかわらず、その有効期限が切れた後も、引き続きその国に滞在することを言います。

一般的に「オーバーステイ」と言われているものは、この不法残留に当たります。

不法残留者の数は?

不法残留者の数は?

不法残留者の数は、入国管理局が2018年1月時点で発表しているデータを参照すると、6万6,498人と発表されています。

また、最も不法残留者が多い在留資格は、「短期滞在」で、次いで「技能実習」と発表されています。

本邦における不法残留者数について

本邦における不法残留者数について

参照:法務省 本邦における不法残留者数について

オーバーステイが発覚したら

オーバーステイが発覚したら

オーバーステイなど不法残留が発覚した場合は、「退去強制」が命じられることがあり、重い処分が決定されることもがあります。

退去強制については、以下の記事で詳しく解説をしています。↓
退去強制とは何?該当する人も合わせて解説します!

また、「出入国管理及び難民認定法」の改正によって、オーバーステイが発覚した場合に、「出国命令制度」が新たに創設されています。

出国命令制度とは?

出国命令制度とは?

オーバーステイ(不法滞在)をしている外国人は、与えられた在留資格の更新や変更手続きを行わないで、日本に滞在している外国人です。

オーバーステイをしてしまった外国人は、退去強制事由にあたりますので、入国管理局によって身柄が収容され、日本国外に強制的に退去させられることになります。

しかし、「出国命令制度」ができたことによって、一定の要件を満たしていれば、外国人は身柄を収容されることなく、日本から出国することができます。

つまり、「出国命令制度」とは、外国人の身柄を収容せず、比較的容易な手続きで日本から出国することができるようになります。

以前は、退去強制事由に該当する外国人は、全て退去強制手続きを取ることとされていましたが、2004年(平成16年)の法改正によって、上述した出国命令制度によって、日本から出国することができるようになりました。

出国命令制度の対象になる外国人は?

オーバーステイをしている全ての外国人が「出国命令制度」の対象になるという訳ではありません。

「出国命令制度」の対象となる外国人は、以下の要件を全て満たしている必要があります。

①速やかに出国する意思をもって自ら入国管理官署に出頭したこと。

②不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと。

③入国後に窃盗罪等の所定の罪により懲役または禁錮に処せられていないこと。

④これまで強制送還されたり、出国命令により出国したことがないこと。

⑤速やかに出国することが確実と見込まれること。

上記5つの要件を満たしている必要があります。

また、「不法入国者」、「不法上陸者」は出国命令制度の対象とはされていません。

「出国命令制度」については、入国管理局からも案内が出ていますので参考にしてください。↓

参照:法務省 入国管理局 不法残留している外国人の方への帰国手続き(出国命令制度)のご案内

出国命令制度はの場合は上陸拒否期間が1年

退去強制や出国命令制度を利用した日本から出国した外国人は、一定の期間、日本に上陸することが禁止されます。

①過去に退去強制歴等がある外国人は10年

②摘発等により退去強制された(過去に退去強制歴等ない場合)は5年

③出国命令制度を利用して出国した外国人は1年

上記の期間について、上陸拒否期間がありますので、その期間は日本に上陸することができなくなります。

以下、簡単に出国命令と退去強制の手続きの違いを掲載しておきます。

参照:法務省 入国管理局 出国命令制度について

在留特別許可について

在留特別許可について

オーバーステイ(不法滞在)をしてしまうと、退去強制や出国命令制度を利用して、日本を出国しなければならなと上述しました。

しかし、個々の事案ごとに,「在留を希望する理由」「家族状況」「生活状況」「素行」「内外の諸情勢その他諸般の事情」に加え、その外国人に対する人道的な配慮の必要性と他の不法滞在者に及ぼす影響とを含めて、法務大臣の裁量によって、特別に在留を認めてもらえるケースもあります。

この在留特別許可は、「出入国管理及び難民認定法50条」に根拠が規定されています。

出入国管理及び難民認定法50条

法務大臣は、前条第三項の裁決に当たつて、異議の申出が理由がないと認める場合でも、当該容疑者が次の各号のいずれかに該当するときは、その者の在留を特別に許可することができる。
一 永住許可を受けているとき。

二 かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき。

三 人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき。

四 その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき。

上記4つの場合を規定しています。

特に「その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき。」については、様々なケースが考えられます。

例えば、日本人と結婚している外国人がオーバーステイをしてしまった場合や、永住者と結婚をしている外国人(当然、偽装結婚でないことが前提です。)なども想定されますし、生活状況が安定しているなどのケースも想定されます。

ただし、あくまでも「在留特別許可」は法務大臣の裁量によって決定がされますので、「日本人と結婚している」という理由で必ずしも許可をもらえるということではありませんので、100%ではないということは知っておく必要があります。

在留特別許可については、ガイドラインも法務省から発表されていますので、参考にしてください。↓
法務省 在留特別許可に係るガイドラインの見直しについて

まとめ

不法滞在(オーバーステイ)発覚の時の対応のまとめ

今回は、オーバーステイ(不法滞在)の状態になってしまった場合に知っておきたいことについて書いていきました。

日本に滞在している外国人は、在留期間が満了する前に更新や変更手続きを行うなど、日本の法律をしっかりと遵守することが求められます。

うっかり更新手続きを忘れていてオーバーステイ状態にならないために、在留カードなどを確認して、自身の状況をしっかりと把握しておくことが大切です。

在留カードについては以下の記事を参考にしてください。↓
外国人の在留カードについてわかりやすく解説します!

また、外国人を雇用したいと検討している事業主にとっても、オーバーステイの問題だけではなく、意図せず「不法就労」になってしまい、法律違反をしないようにコンプライアンスをしっかりと守っていくことも求められます。

不法就労については、以下の記事で詳しく解説をしています。↓
罪に問われる?!不法就労の外国人を雇わないために

今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。

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