2019年4月に在留資格「特定技能」が創設され、日本と各国の間で、二国間の協力覚書が随時作成されています。
そこで、今回はモンゴルとの在留資格「特定技能」に関する協力覚書について考えていきます。
今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。
「特定技能」ビザ全般については以下の記事で解説をしています。↓
・外国人の「特定技能」の在留資格について徹底解説します!
モンゴルとの協力覚書の目的
モンゴルとの二国間の協力覚書は、他の在留資格「特定技能」の覚書と同様に、
「特定技能外国人の円滑かつ適正な送出し・受入れ の確 保並びに特定技能外国人の送出し・受入れ及び日本国での在留に関する問 題の解決のための情報連携の基本的枠組みを定めることにより、モンゴルから日 本 国への特定技 能外国人の送出し及び受入れの円滑かつ適正な推進を通じて特定技能外国人を保護するとともに、本制度の適正な運用のための協力を通じて両国の相互の利益を強化すること」を目的としています。
その他、在留資格「特定技能」に関して、他の国との二国間協力覚書については、以下で解説しています。↓
・特定技能に関する二国間の協力覚書の記事一覧
日本とモンゴルとの連絡窓口について
日本とモンゴルとの間でこの協力覚書に基づく協力を効果的に実施するために、両国の連絡窓口が指定されています。
日本の連絡窓口
・出入国在留管理庁在留管理支援部在留管理課
出入国在留管理庁については、以下の記事で解説をしています。↓
・出入国在留管理庁について
モンゴルの連絡窓口
・モンゴルの省の労働・社会保障サービス総合事務所(「GOLWS」)
上記の場所を連絡窓口として指定しています。
日本側の約束について
日本とモンゴル国との「特定技能」に関する協力覚書では、日本とモンゴル国との間で約束を取り交わしています。
日本側の約束については以下のように作成されています。
1、受入機関と特定技能外国人との間で結ばれた雇用契約及び受入機関により作成された在留資格「特定技能1号」を有する外国人に対する支援計画が、出入国に関する法令で規定された基準に適合するかどうかを適正に審査すること。
(特定技能外国人の雇 用契約における、特定技能労働者に対して日本人と同等又はそれ以上の賃金が支払わ れるとの基準及び在留資格「特定技能1号」を有する外国人に対する支援計画におけ る、受入機関が転職を支援するとの基準を含む。)
2、受入機関との契約に基づき委託を受けて、在留資格「特定技能1号」を有する外国人に対する適切な支援計画の実施に係る全ての業務を遂行する意向を有する機関による登録の申請については、登録に関する業務を実施すること及び当該機関が出入国に関 する法令により規定された登録拒否の根拠に該当する場合には、登録を拒否すること。
また、登録された機関の名称等の情報を日本国において公表すること。
3、
(1)特定技能外国人の雇用契約及び在留資格「特定技能1号」を有する外国人に対す る支援計画が出入国に関する法令に規定された基準に適合するものであること
(2)特定技能外国人の雇用契約が適正に履行されること
(3)在留資格「特定技能1号」を有する外国人の職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援を行うための当該外国人に対する支援計画が適正に実施されていること
(4)特定外国人の受入れが出入国及 び労働に関する法令に適合することを確保することが必要と認められる場合には、報告を徴収し、並びに受入機関に対して指導及び助言を行うこと。
また、上記(1)から(4) が確保されていないと認められる場合には、関係法令に基づいて改善命令を出すとともに、当該命令が出されたことを日本国において公表すること。
4、登録支援機関が在留資格「特定技能1号」を有する外国人の支援計画に基づく支援 業務の適正な実施に関し、制度の適正な実施を確保するために必要と認められる場合には、報告を徴収し、並びに登録支援機関に対して指導及び助言を行うこと。
また、違反があると認められた場合には、必要に応じて登録を取り消すこと。
5、特定技能外国人の賃金、労働時間、安全、健康その他の労働条件を確保するため、 及び労務管理を適正に改善するため、受入機関又は仲介機関に対して指導及び監督をす ること。
6、特定技能外国人の適正な受入れを確保するため、出入国、労働その他の関係法令に従い、日本国内の悪質な仲介機関を排除するための必要な措置をとること。
7、日本の省庁がモンゴルの省から日本国へ特定技能外国人を送り出す意向を有するモンゴル国内の唯一の送出機関である GOLWS に関する情報を受領した場合には、当該情報を日本国において公表すること。
8、受入機関に対して改善命令を行った場合には、モンゴルの省に対して当該命令を通知すること及び登録支援機関の一覧をモンゴルの省と共有すること。
9、「特定技能1号」に申し込むことを希望する者に対し、原則として、技能試験及び日本語能力の測定試験に合格していることを求めること。
10、技能実習2号を修了した者が「特定技能1号」に申し込む場合には、(9)に記載する技能試験及び日本語能力の測定試験に合格していることを免除すること。
11、中長期の在留資格を持ち日本国に在留するモンゴル人が「特定技能1号」へ在留資格の変更を申し込む場合には、申請者が出入国に関する法令に規定する基準を満たし ているか否かの審査を行い、当該申請者が基準を満たしていると認める場合には、資格の変更を許可すること。
12、モンゴルの省から、モンゴル国からの特定技能外国人の受入れに関する照会を受けた場合には、必要な情報を提供すること。
上記の約束をモンゴルとの間で取り交わしています。
モンゴル側の約束について
日本側の約束については上述したとおりですが、モンゴル側の約束は以下のように作成されています。
1、GOLWS をモンゴル国の特定技能外国人を送り出すことができるモンゴル国内の唯一 の機関として指定し、その指定をモンゴル国内において公表し、及び GOLWS に関する情報を日本の省庁に提供すること。
2、特定技能外国人の円滑かつ適正な送出し・受入れを確保するために、特定技能外国人の適正な送出しを確保すること。
3、日本の省庁から、受入機関に対して発した改善命令又は登録支援機関の一覧について情報の提供を受けた場合には、当該情報をモンゴル国において公表すること。
4、GOLWS と受入機関が特定技能外国人の送出し・受入れに関して契約を結ぶ場合には、 モンゴル国内の唯一の送出機関である GOLWS に対し、モンゴル国の労働人材の海外への送出し並びに労働人材及び専門家の海外からの受入れに関する法第4.1.5条に従っ て受入機関との間で契約を結ぶことを求めること。
5、日本側の約束の(9)に記載する技能試験及び日本語能力の測定試験に合格したモンゴル国の特定技能外国人の候補者に対し、GOLWS に登録することを求めること。
6、モンゴルの省がモンゴル国からの特定技能外国人の送出しに関する照会を日本の省 庁から受けた場合には、必要な情報を提供すること。
日本とモンゴルとの協力覚書はいつ終了する?
日本とモンゴルとの協力覚書は、いずれか一方の国の省庁又は省が、この協力覚書に基づく協力の終了を希望する場合に、終了することを希望する日の90日前までに他方の国の省庁又は省に対し書面によりその意図を通告することにより終了する。と規定されています。
その他の協力覚書の内容について
モンゴルとの協力覚書では、上記の事項以外にも、
・協力の枠組み
・情報共有及び協議
・技能試験及び日本語能力の測定試験における協力
・言語等
などの事項についても規定されています。
まとめ
今回は、日本とモンゴルとの二国間の協力覚書について書いてきました。
協力覚書はその時々の状況に応じて、修正又は補足されていくことが考えられるので、今後も内容にも注目していきたいところです。
今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。
「特定技能」ビザについて解説した記事一覧は、以下の記事にまとめています。↓
・特定技能の在留資格について解説した記事一覧(まとめ)