介護分野の「特定技能」ビザについて徹底解説!

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2019年4月から新しい在留資格として「特定技能」が新設されます。

この「特定技能」ビザを取得することによって特定産業分野においては、原則できなかった外国人の「単純労働」が認められることになります。

その特定分野の一つに「介護」が入っています。

「特定技能」ビザができるまでは、日本で介護職についてきた外国人は

・「EPA(経済連携協定)による「介護」(特定活動)」

・「技能実習制度による「介護」」

・「在留資格「介護」」

上記いずれかを利用して在留資格を取得することで、業務に従事をすることができました。

以下に上記3つの制度について解説した記事がありますので、参考にしてください。↓
介護分野で外国人を雇用する際の在留資格等4つの制度を解説

しかし、今回の「介護の特定技能」ビザが新設されることによって、新たに「特定技能」でも、外国人が介護職に従事することが可能になります。

そこで今回は、「介護職における特定技能」ビザについて考えていきます。

皆様の参考になれば幸いです。

「特定技能」ビザについては、以下の記事を参考にしてください。↓
外国人の「特定技能」の在留資格について徹底解説します!

介護分野は人手不足

介護分野は人手不足

介護の業務に従事することができる「特定技能」ビザで外国人を受け入れる一つの理由として、介護分野の人手不足をあげることができます。

介護の業務に従事する人材は、厚生労働省が発表している資料によると、2025年では「介護人材の需要見込みが253.0万人」、「介護人材の供給見込みが215.2万人」とされており、そのギャップが37.7万人になると試算されています。

2025年に向けた介護人材にかかる需給推計

参照:厚生労働省 2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について

そのため、毎年6〜7万人 の介護人材を確保していく必要があるとされています。

このような状況の中で、国や地方自治体も「資格取得の支援」や「雇用管理改善の推進」、「介護の魅力の情報発信によるイメージアップ」など様々な施策を行なっています。

「総合的な確保方策」の目指す姿 ~「まんじゅう型」から「富士山型」へ~

参照:厚生労働省 2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について

しかし、少子高齢化や介護以外でも多くの業務の分野で「人手不足が深刻化」してきている中で、新たな人材を確保していくことはとても厳しい状況になっています。

そこで、「特定技能」ビザで外国人を受け入れることによって、介護分野の人手不足を補おうという考えがあります。

外国人の受け入れ見込み数は?

外国人の受け入れ見込み数は?

2019年度の「特定技能」の制度開始初年度は、5,000人の外国人の受け入れを見込んでいます。

また、現状は向こう5年間で「6万人」を受け入れの上限として考えられています。

特定技能ビザ(介護の分野)のポイント

特定技能ビザ(介護の分野)のポイント

介護業の分野において「特定技能1号」ビザを考えるにあたり知っておきたいポイントを以下に解説をしていきます。

技能水準及び評価方法等

技能水準及び評価方法等

「特定技能1号」ビザを取得するためには、「介護技能評価試験(仮称)」合格、又は「介護福祉士養成施設を修了している必要があります。

「特定技能評価試験」に全般については、以下の記事で詳しく解説をしています。↓
特定技能評価試験に求められる試験水準等を解説!

①介護技能評価試験(仮称)

この試験に合格することによって、介護分野において、一定の専門性・技能を用いて即 戦力として稼働するために必要な知識や経験を有するものと認められます。

そのため、「介護技能評価試験」に合格した外国人が「特定技能」の在留資格を取得するためには、「介護技能評価試験の合格証明書の写し」や「介護日本語評価試験の合格証明書の写し」などの書類を添付書類として提出することが求められます。

評価方法

試験言語:現地語

実施主体:予算成立後に厚生労働省が選定した民間事業者

実施方法:コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式

実施回数:(国外)年おおむね6回程度 、(国内)未定

開始時期:平成 31 年4月予定

「介護技能評価試験」及び「介護日本語評価試験」については、以下の記事で解説をしています。↓
【特定技能】介護技能評価試験・介護日本語評価試験を解説!

②介護福祉士養成施設修了

介護福祉士養成課程の修了者は、介護分野において、一定の専門 性・技能を用いて即戦力として稼働するために必要な知識や経験を有するものと認められ、「介護技能評価試験(仮称)」の合格と同等以上の水準を有するものと評価されます。

評価方法

介護福祉士養成課程は、「社会福祉士及び介護福祉士法第 40 条第2項第1号から第3号」までに基づき、教育内容等に関する一定の指定基 準を満たす専修学校等を都道府県知事等が指定する仕組みとなっており、当該課程の修了者であることを卒業証明書等で確認・評価されます。

そのため、介護福祉士養成施設を修了した外国人が「特定技能」の在留資格を取得するためには、当然「介護福祉士養成施設の卒業証明書」などの書類を添付書類として提出する必要があります。

介護技能評価試験と介護福祉士養成施設修了との比較

以下に、「特定技能1号」における「介護技能評価試験」と「介護福祉士養成施設修了」との技能水準や評価方法などをわかりやすく比較した表を掲載しておきます。↓

介護技能評価試験と介護福祉士養成施設修了との比較

<参照:法務省 特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領  介護分野の基準についてより>

国内試験を受験できない人

国内で試験を実施する場合、

1、退学・除籍処分となった留学生

2、失踪した技能 実習生

3、在留資格「特定活動(難民認定申請)」により在留する者

4、在留資格「技能実習」による実習中の者

上記外国人は、在留資格の性格上、当該試験の受験資格を認めないとされています。

日本語能力水準及び評価方法等

日本語能力水準及び評価方法等

「特定技能1号」ビザを取得する外国人には、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有するものことが求められますので、以下の試験の合格等が必要になります。

①日本語能力判定テスト(仮称)

この試験に合格することによって、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有するものと認められることから、基本的な日本語能力水準を有するものと評価されます。

評価方法について

上記試験の評価方法等については、

実施主体:独立行政法人国際交流基金

実施方法:コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式

実施回数:年おおむね6回程度、国外実施を予定

とされています。

②日本語能力試験(N4以上)

この試験に合格することによって、「基本的な日本語を理解することができる」 と認定されますので、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程 度の能力を有するものと認められ、本制度での受入れに必要となる基本的な日本 語能力水準を有するものと評価されます。

評価方法

日本語能力試験は、

実施主体:独立行政法人国際交流基金及び日本国際教育支援協会

実施方法:マークシート方式

実施回数:国内外で実施。国外では 80 か国・地域・239 都市で年おおむね1回 から2回実施(平成 29 年度)

とされています。

日本語能力試験N4については以下の記事で解説をしています。↓
特定技能ビザに必要な「日本語能力試験N4」とは?

③介護日本語評価試験(仮称)

上記「日本語能力判定テスト(仮称)」または、「日本語能力試験」によって、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力を有することを確認の上、「介護日本語評価試験(仮称)」 を通じ、介護現場で介護業務に従事する上で支障のない程度の水準の日本語能力」が確認されます。

評価方法

実施主体:予算成立後に厚生労働省が選定した民間事業者

実施方法:コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式

実施回数:(国外)年おおむね6回程度 、(国内)未定

開始時期:平成 31 年4月予定

とされています。

④介護福祉士養成施設修了

介護福祉士養成施設は、留学に当たり、日本語教育機関で6か月以上の 日本語の教育を受けたこと等が求められることに加え、入学後の2年以上の養成課程において 450 時間の介護実習のカリキュラムの修了が求められること等から、介護福祉士養成施設を修了した者は、「日本語能力判定テスト(仮称)」の合格と同等以上の水準を有するものされます。

そのため、上記「日本語能力判定テスト(仮称)」又は「日本語能力試験」及び「介護日本語評価試験(仮称)」の試験が免除されます。

EPA社会福祉士候補者も4年間介護施設で従事した場合は試験を免除

EPA社会福祉士候補者も4年間介護施設で従事した場合は試験を免除

特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領が改正され、EPA社会福祉士候補者も、一定の要件を満たしていれば、上記試験が免除され、特定技能の在留資格に変更することが可能になりました。

EPA社会福祉候補者が、特定技能の在留資格に変更する場合に知っておきたいことは、以下の記事で解説をしています。↓
介護分野のEPA外国人が特定技能ビザへの変更について解説

技能実習を修了した外国人も特定技能に移行できる

技能実習を修了した外国人も特定技能に移行できる

「介護職種・介護作業」の第2号技能実習を修了した外国人は、「技能実習」 で修得した技能が、1号特定技能外国人が従事する業務で要する技能と、介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を自ら一定程度実践できるレベルとされるます。

そのため、技能の根幹となる部分に関連性が認められることから、介護業務で必要とされる一定の専門性・技能を有し、即戦力となるに足りる相 当程度の知識又は経験を有するものと評価し、上記試験等が免除されます。

ただし、介護の技能実習は2017年から始まったものであるため、「特定技能」への移行者はいないと試算されています。

技能実習については、以下の記事で詳しく解説をしています。↓
技能実習生って何?外国人の技能実習制度について徹底解説!

介護分野の特定技能ビザの業務内容は?

介護分野の特定技能ビザの業務内容は?

介護分野において受け入れる1号特定技能外国人が従事することができる業務は、

身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助、整容・衣服着脱,移動の介助等)の業務です。

また、当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(例:お知らせ等の掲示物の管理、物品の補充等)に付随的に従事することは差し支えないとされています。

ただし、訪問して介護を行う訪問系の介護業務については、従事することができませんので注意が必要です。

外国人を雇用する会社(特定技能所属機関)に必要なこと

外国人を雇用する会社(特定技能所属機関)に必要なこと

介護の分野で「特定技能」ビザで外国人を雇用する「特定技能所属機関」にも求められることがあります。

・雇用する外国人は、日本人等の常勤介護職員の総数を上限とすること。(事業所単位)

・「介護分野特定技能協議会(仮称)」の構成員になること

また、必要な協力も求められます。

・特定技能外国人の受入れに係る状況の全体的な把握

・問題発生時の対応

・法令遵守の啓発

・特定技能所属機関の倒産時等における特定技能外国人に対する転職支援

・就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析等

などの協力が求められます。

特定技能所属機関については、以下の記事も参考にしてください。↓
特定技能で受入れ先になる特定技能所属機関の基準について

介護分野特定技能評議会とは?

介護分野特定技能評議会とは?

上述したとおり、介護分野で在留資格「特定技能」の外国人を雇用するためには、「特定技能評議会」の構成員になることが求められます。

以下に、簡単に介護分野特定技能評議会について記載していきます。

また、外国人介護人材が安心して就労できるようにするために創設された、「外国人介護人材受入環境整備事業」については、以下の記事でも解説をしています。↓
外国人介護人材受入環境整備事業の創設について

介護分野特定技能評議会の設置目的

介護分野特定技能評議会の設置目的は、以下の2つであると考えられます。

1、構成員が相互の連絡を図ることにより、「特定技能外国人」の適正な受入れ及び保護に有用な情報を共有し、その構成員の連携の緊密化を図ること。

2、各地域の事業者が必要な特定技能外国人を受け入れられるよう、制度の趣旨や優良事例を全国的に周知するとともに、地域における人手不足の状況を把握し、必要な措置を講ずること

上記2点を目的として設置されています。

以下に、厚生労働省から発表されている、「介護分野における特定技能協議会設置要綱」を掲載しておきます。↓

厚生労働省 介護分野における特定技能協議会設置要綱

介護分野特定技能評議会の構成員になるには?

介護分野特定技能評議会の構成員になるには、「入会申込書及び入会申込みに伴う添付書類」を事務局へ送付し、厚生労働省社会・援護局長の承諾を得て、協議会の構成員になる必要がります。

協議会及び運営委員会の庶務は、「厚生労働省社会・援護局福祉基盤 課福祉人材確保対策室」及び」外国人介護人材相談支援事業者」において処理されることになっています。

詳細については、以下の厚生労働省から発表されている入会規定を参照してください。↓

厚生労働省 介護分野における特定技能協議会入会規程

外国人の雇用形態について

外国人の雇用形態について

「特定技能」ビザで外国人を雇用する場合は、直接雇用であることが必要です。

したがって、派遣での就業はできませんので、注意が必要です。

まとめ

介護分野の特定技能ビザのまとめ

今回は、介護分野での「特定技能」ビザについて書いてきました。

「特定技能」ビザの運用には、大きな期待もありますが、課題もありますので、今後の動向を慎重に見ていく必要があります。

皆様の参考になれば幸いです。

「特定技能」ビザについて解説した記事一覧は、以下の記事にまとめています。↓
特定技能の在留資格について解説した記事一覧(まとめ)

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