観光立国を目指している日本では、外国人の方に向けて様々な取り組みを行なっています。
そこで、今回は日本政府が観光立国実現に向けた取り組みについて考えていきたいと思います。
今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。
旅行など、短期で日本にくる場合の短期滞在ビザについては、以下の記事で解説をしています。↓
・外国人の短期滞在ビザについて徹底解説します!
観光立国とは
そもそも観光立国とは、コトバンクでは以下のように説明をされています。
「国内の特色ある自然環境、都市光景、美術館・博物館等を整備して国内外の観光客を誘い込み、人々の落とす金を国の経済を支える基盤の一つにすること。」
そのような、観光立国を目指している日本では、現在「2020年の訪日外国人旅行者数を4,000万人とする。」という目標を掲げています。
この目標は、「明日の日本を支える観光ビジョン」で明記されており、観光先進国に向けた様々な取り組みをしていくということも述べられています。
<参照:観光庁「明日の日本を支える観光ビジョン」概要より>
訪日外国人が増えた理由
訪日外客数は、日本政府観光局の統計によると、2017年は、28,691,073人であるとされています。
<参照:日本政府観光局>
訪日外国人は年々増加していますが、日本にくる外国人が増えた理由には、日本政府の政策など、様々な要因が考えられます。
観光立国実現に向けた日本のキャンペーン
上述してきたとおり、日本は国をあげて、観光立国実現に取り組んでいます。
例えば、2003年から「ビジットジャパンキャンペーン」と称し、デジタルマーケティングを最大限活用し、ビッグデータ分析を通じた市場動向把握・プロモーションの高度化を目指す。海外に向けたプロモーション活動を行なっています。
民泊などのインバウンドビジネスが成長
例えば、私の事務所がある大阪だと民泊ビジネスがとても成長しています。
民泊に関しては、法整備も行われ、合法的に運営することが義務付けられていますので、闇民泊が減少してきており、Airbndなどを活用して外国人旅行者に向けたビジネスが大きくなってきています。
また、外国語対応のお店なども増加してきていますので、外国人旅行者にとっても旅行に行きやすくなっています。
さらにLCCなどの格安航空を利用して日本にも来れるようになったことによって、気軽に日本に来れる体制も整ってきています。
SNSなどのサービスによって情報の発信が容易になった
近年では、Twitterやfacebook、インスタグラムなど様々なSNSが発達し、個人でも世界中に向けて情報発信ができるようになりました。
そのため、日本に旅行に来た外国人観光客などが、情報を発信することによって、日本の魅力が拡散されやすくなっています。
観光立国実現に向けた主な取り組みは?
観光立国実現に向けたこれまで様々な取り組みが行われてきましたが、「出入国在留管理基本計画」において、取り上げられている主な取り組みは以下のとおりです。
バイオカートの導入
空港等での入国審査待ち時間は、訪日外国人旅行者のストレスの主な要 因の一つとなっていました。
そのストレスなどを解消するために、観光立国実現に向けた政府方針として、空港にお ける入国審査待ち時間20分以内を目指すとしています。
そこで、審査待ち時間短縮のための方策として、入国審査官のいる審査ブース手前で順番を待つ時間を活用し、前倒しで個人識別情報(指紋及び 顔写真)を取得するための機器、通称「バイオカート」を、2016年1 0月に、特に審査待ち時間短縮効果が高いと思われる関西空港、高松空港及び那覇空港に導入しました。
その後、2017年4月から成田空港等を含め12空港 に、2018年5月には北九州空港及び大分空港にも導入し、入国審査待ち時間の改善を図っています。
以下、バイオカートの本体↓
バイオカート導入後の上陸審査場イメージ↓
バイオカート導入後の審査手順↓
(法務省 バイオカート運用についてより)
顔認証技術を活用した自動化ゲートの導入
観光立国の推進及び2020年東京オリンピック・パラリンピック競技 大会の開催に向けて、更なる出入国審査の迅速化が求められています。
そのようなことから、顔認証技術を活用して日本人の出帰国手続を合理化し、外国人に対する審査を充実させるため、顔認証技術による自動化ゲート、通称「顔認証 ゲート」を導入しました。
「顔認証ゲート」については、法務省のホームページでも解説がされています。↓
トラスティド・トラベラー・プログラム(TTP)の導入
従来では、自動化ゲートを利用できる外国人は、再入国許可を有する在留外国人に限られていましたが、2016年11月、トラスティド・トラベラ ー・プログラム(TTP)を導入し、在留資格「短期滞在」で入国しようとする外国人のうち、過去に一定回数以上の来日歴を有し、国内外の上場企業等に勤務するなど出入国在留管理上のリスクが低いと認められる外国人については、自動化ゲートを利用できるようにしました。
なお、日米間の出入国審査の迅速化に資するため、米国のグローバル・ エントリー・プログラム(GEP)に登録している米国人については、TTPの利用希望者登録の申請について要件の一部に適合することを要しないこととしています。
トラスティド・トラベーラ・プログラムについても、法務省のホームページで解説がされています。↓
その他観光立国実現のために政府が行なってきた政策
観光立国実現のため様々な政策を日本では行なってきましたが、いくつか具体例をあげていきます。
ビジットジャパンキャンペーン
上述したとおり、2003年から日本では「ビジットジャパンキャンペーン」を開始し、訪日外国人に日本の文化などを積極的にアピールするプロモーションを始めました。
これは、当時の首相であった小泉純一郎氏が「2010年には訪日外国人を1,000万人にする」と宣言したことから始まっています。
現在、訪日プローモションの重点市場にあげられているのが、
「韓国」「中国」「台湾」「香港」「タイ」「シンガポール」「マレーシア」「インドネシア」「フィリピン」「ベトナム」「インド」「豪州」「米国」「カナダ」「英国」「フランス」「ドイツ」「イタリア」「ロシア」「スペイン」などの20市場です。
このプロモーション活動では、
・現地消費者向け市場
・現地旅行会社向け事業
・在外公館等連携事業
・官民連携事業
・地方連携事業
などを中心に活動が行われています。
<参照:観光庁 訪日プロモーションの概要より>
観光庁の設置
2008年に日本の「観光立国」の推進体制を強化するために観光庁が発足しました。
観光庁は、
・諸外国に対して、観光庁が日本政府を代表し、対外的な発信力を強化すること。
・観光庁長官のリーダーシップにより、縦割りを廃し、政府をあげての取組みを強化すること。
・観光庁は地域・国民のに対し、観光に関するワンストップ的な窓口となること。
などが取り組みとしてあげられています。
また、観光庁は国土交通省の外局となっています。
明日の日本を支える観光ビジョンの策定
日本政府は、『観光先進国』への新たな国づくりに向けて、2016年3月30日、『明日の日本を支える観光ビジョン構想会議』において、新たな観光ビジョンを策定しました。
『世界が訪れたくなる日本』を目指し、観光ビジョンの施策の実行に、政府一丸、官民一体となって取り組むこととされています。
観光立国を実現することによって地域活性化の戦略
「明日の日本を支える観光ビジョン」では、地域創生についても考えられています。
例えば、
観光資源の魅力を極め「地方創生」の礎に
・魅力ある公的施設・インフラの大胆な公開・開放
・文化財の観光資源としての開花
・国立公園の「ナショナルパーク」としてのブランド化
・景観の優れた観光資産の保全、活用による観光地の魅力向上
・滞在型農山漁村の確立、形成
・地方の商店街等における観光需要の獲得、伝統工芸品等の消費拡大
などの視点から地方創生についての施策が考えられています。
その他、観光立国を目指す日本の地方創生については、
1、観光産業を革新し、国際競争力を高め、日本の基幹産業に
2、すべての旅行者が、ストレスなく快適に観光を満喫できる環境に
などの視点からも地方創生に向けた取り組みについて述べられています。
まとめ
今回は、観光立国実現を目指す日本の取り組みなどについて考えてきました。
今後も日本には多くの外国人が来客することが見込まれていますので、日本経済にも良い影響を与えることが期待されています。
今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。
在留資格などの出入国を管理する出入国在留管理庁については、以下の記事で解説をしています。