災害等の復興事業の更なる加速を図りつつ、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会等の関連施設整備等による一時的な建設需要の増大に対応するため、緊急かつ時限的措置(2020年度で終了)として、国内人材の確保に最大限努めることを基本とした上で、即戦力となり得る外国人材の活用促進を図ることを目的に、「外国人建設就労者受入事業」という制度があります。
そこで、今回は、「外国人建設就労者受入事業」について考えていきたいと思います。
皆様の参考になれば幸いです。
建設分野の在留資格「特定技能」については、以下の記事で解説をしています。↓
・建設業分野の「特定技能」ビザについて徹底解説!
外国人建設就労者受入事業とは?
2020年に開催される、東京オリンピック・パラリンピックの開催等によって、関連施設整備等により、しばらくの間、一時的な建設需要が増大することが予想されます。
国内での人材確保に最大限務めることが最重要ですが、このような建設需要の高まりによって、時限的な措置(2020年で終了)として、建設分野において、即戦力となり得る外国人材の活用することを目的とした制度が「外国人建設就労者受入事業」です。
つまり、建設分野の技能実習修了者について、技能実習に引き続き国内に在留し、又は技能実習を修了して一旦本国へ帰国した後に再入国し、雇用関係の下で、在留資格「特定活動」を付与することで、建設業務に従事することができることになります。
外国人建設就労者とは?
「外国人建設就労者」とは、建設分野技能実習を修了した者であって、「受入建設企業」との雇用契約に基づく労働者として「建設特定活動」に従事する者 をいいます。
受入建設企業とは?
「受入建設企業」とは、技能実習の実習実施者として建設分野技能実習を実施したことがある事業者のうち、「適正監理計画」の認定を受け外「国人建設就労者」を雇用契約に基づく労働者として受け入れて「建設特定活動」に従事させるものをいいます。
技能実習制度については、以下の記事で解説をしています。↓
・技能実習生って何?外国人の技能実習制度について徹底解説!
建設特定活動とは?
「建設特定活動」とは、「特定監理団体」の責任及び監理の下に「外国人建設就労者」が「受入建設企業」との雇用契約に基づいて行う「出入国管理及び難民認定法」の規定に基づき法務大臣が指定する活動をいいます。
特定監理団体とは?
「特定監理団体」とは、監理団体として技能実習生の受入れを行ったことがある営利を目的としない団体のうち、国土交通大臣から「特定管理団体」の認定を受け、「建設特定活動」の監理を行うものをいいます。
<参照:国土交通省 建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置より>
外国人建設就労者受入事業の実施期間は?
「外国人建設就労者受入事業」は、時限的な措置ですので、2015年4月1日から2021 年 3月 31日までです。
しかし、2021年3月 31 日までに認定を受けた適正監理計画に基づき就労を開始している外国人建設就労者については、外国人建設就労者の受入期間の範囲で最長で2023 年3月 31日まで実施することがで きます。
ただし、新規の外国人建設就労者の受入れについては、2021年4月1日以降は、行うことができなくなるので、注意が必要です。
在留資格「特定活動」が付与される
「外国人建設就労者受入事業」の制度を利用することで、対象となる「外国人建設就労者」には、在留資格「特定活動」が付与されることになります。
在留資格「特定活動」については、以下の記事を参考にしてください。↓
・特定活動の在留資格を解説!オリンピックの準備も対象に?
在留期間について
「特定活動」が付与された、「外国人建設就労者」の在留期間は1年ごとの更新により、最大2年以内となります。
しかし、再入国者のうち、本国に帰国後の期間が1年以上の外国人は最大3年以内の在留が可能です。
<参照:国土交通省 建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置より>
外国人建設就労者の要件は?
「外国人建設就労者」に該当するためには、以下の要件を満たしている必要があります。
建設分野技能実習に概ね2年間従事したことがあること
この要件は、建設分野に該当する「第2号技能実習」又は「第3号技能実習」の活動に概ね2年間従事していることが必要です。
また、外国人建設就労者は、技能実習修了者なので、建設特定活動が修了し、帰国した後は、「技能実習」で日本に在留中に修得した技能等を要する業務に従事することが予定されていることが求められます。
技能実習期間中に素行が善良であったこと
この要件は、犯罪歴の有無やその態様、日常生活又は社会生活における違法行為や風紀を乱す行為の有無等を総合的に考慮して、通常人を基準として社会通念によって判断されることになります。
特定管理団体の認定に必要な書類は?
「外国人建設就労者受入事業」では、受入れを適切な監理を行うことができる特定監理団体及び適切な監理を行うことができる受入建設企業に限定するとされています。
以下に、特定監理団体に必要となる一般的な書類を記載していきます。
1、特定認定申請書
2、登記事項証明書
3、定款
4、外国人建設就労者受入れに係る規約(中小企業団体のみ)
5、役員名簿
6、会員、組合員名簿
7、損益計算書、貸借対照表の写し
8、常勤の職員の数を明らかにする文書
9、監理団体として受入れを行っている技能実習生名簿
10、無料職業紹介事業の許可を受け、又は届出を行っていることを証する 書類(無料職業紹介事業の許可書等)
11、建設特定活動の実施体制図
12、建設分野技能実習の監理実績を証する書類(雇用契約書等)
特定監理団体の認定の要件は?
特定監理団体の認定を受けるためには、以下の要件を満たしている必要があります。
1、建設分野技能実習の監理実績
2、外国人の受入れ又は就労に係る不正行為を行ったことがないこと
3、過去5年間に技能実習法第 36 条第1項の規定による改善命令又は同法第 37 条第1項の規定による監理許可の取消しを受けていないこと。
4、入管法第 73 条の3の規定又は施行令第1条第1号、第2号、第5号若しく は第6号に掲げる規定により刑に処せられたことがある場合は、その執行を 終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過していること
5、過去5年間に特定監理団体になろうとするものの事業活動に関し、技能実習第1号イの項の下欄第 21 号の2に規定する行為を行ったことがないこと
6、暴力団員等の関与がないこと
7、無料職業紹介事業の許可又は届出
8、適切に指導及び監督を行うことができる体制、監査を含む監理のための人 員の確保
9、技能実習生から保証金の徴収の禁止等
10、監理に要する費用の徴収の明示
などの要件を満たしていることが必要になります。
まとめ
今回は、「外国人建設就労者受入事業」について考えてきました。
この制度は、時限的な措置になりますので、2021年3月末に終了してしまいます。
そのため、今後は在留資格「特定技能」などで、建設分野の外国人を雇用するなどの方法を検討していくことが必要になります。
今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。
「特定技能」ビザについて解説した記事一覧は、以下の記事にまとめています。↓
・特定技能の在留資格について解説した記事一覧(まとめ)