日本で就労する外国人の数は年々増加の一途をたどっています。
そのような状況の中で、厚生労働省等も外国人の雇用対策を行うために、外国人の就労・定着支援研修等を実施しています。
そこで、今回は「一般財団法人日本国際協力センター(JICE)」が実施する外国人の就労・定着支援研修について考えていきたいと思います。
皆様の参考になれば幸いです。
「就労ビザ」などの、在留資格全般については、以下の記事で解説をしています。↓
・外国人の在留資格についてわかりやすく解説します!
就労・定着支援研修の概要について
日本では、少子高齢化に伴って労働力人口が減少し、深刻な人手不足に陥っています。
新たな在留資格「特定技能」の創設等、現状を打破するために様々な政策が行われていますが、身分系の在留資格(永住権・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者)で日本に定住する外国人を対象に、外国人就労・定着支援研修事業が行われています。
在留資格「特定技能」については、以下の記事で詳しく解説をしています。↓
・外国人の「特定技能」の在留資格について徹底解説します!
外国人就労・定着支援研修事業の実施主体は?
厚生労働省は、上述した「外国人就労・定着支援研修事業」の実施を「一般財団法人 日本国際協力センター」に委託しています。
したがって、「外国人就労・定着支援研修事業」の実施主体は、「一般財団法人 日本国際協力センター」となります。
外国人就労・定着支援研修事業の目的は?
この「外国人就労・定着支援研修事業」の目的は、「一般財団法人 日本国際協力センター」が、
「日本語も含めた職場でのコミュニケーション」、「日本の労働法令」、「雇用慣行等の基本的知識」、「履歴書の作成」等の知識の習得を通じて、国内企業における安定的な就職及び職場定着の促進を図ることを目的として厚生労働省から受託しています。
外国人就労・定着支援研修事業の対象者は?
「外国人就労・定着支援研修事業」の対象者は、
「熱心に求職活動を行い、就職への意欲が高いと認められるにもかかわらず、日本語コミュニケーション能力等の就労に必要な知識やスキルが十分ではないこと等が原因で、安定的な雇用に就くことが困難である定住外国人求職者」
が対象であるとされています。
研修の内容は?
「外国人就労・定着支援研修事業」の研修内容は、それぞれの状況に応じて「レベル1」〜「レベル5」の5段階で区分されています。
研修レベル1の内容
研修レベル1の対象者は、
初めて日本語を勉強する人、日本語を少し話すことができるが、「ひらがな」「カタカナ」の読み書きが苦手な外国人を対象にしています。
この研修の内容は
・就労場面でのコミュニケーション(会話・読み書き)
・キャリアプランニング・就職活動(求人票・応募書類・面接)
・職場での簡単な指示・説明理解
などが研修の内容になります。
研修レベル2の内容
研修レベル2の対象者は、
「ひらがな」「カタカナ」の読み書きができ、日本語を少し勉強したことがある人が対象になります。
また、日本語で会話が少しできるが、丁寧に話すのが苦手な人も対象になっています。
この研修の内容は、
・就労場面でのコミュニケーション(会話・読み書き)
・キャリアプランニング・就職活動(求人票・応募書類・面接)
・職場や業務の簡単な説明
などが研修の内容になります。
研修レベル3の内容
研修レベル3の対象者は、
「ひらがな」「カタカナ」や簡単な漢字の読み書きができ、ある程度会話ができる人が対象になります。
そのため、状況や相手に合わせた職場での話し方を身に付けたい外国人はこのコースで勉強することになります。
この研修の内容は、
・就労場面でのコミュニケーション(会話・読み書き)
・キャリアプランニング・就職活動(求人票・応募書類・面接)
・指示、提案等
などが研修の内容になります。
研修レベル4の内容
研修レベル4の対象者は、
「レベル3」修了程度の日本語能力がある人が対象になります。
この研修の内容は、
・求職活動のポイント理解
・N4〜N3レベルの言語知識、読解力、聴解力のポイント理解
・自立学習姿勢の形成
などが研修の内容になります。
日本語能力試験におけるN4については、以下の記事でも解説をしています。↓
・特定技能ビザに必要な「日本語能力試験N4」とは?
研修レベル5の内容
研修レベル5の対象者は、
「レベル4」修了または、日本語能力試験N3合格程度の日本語力がある人が対象になります。
この研修の内容は、
・求職活動のポイント理解
・N3〜N2レベルの言語知識、読解力、聴解力のポイント理解
・自立学習姿勢の形成
などが研修の内容になります。
<参照;一般財団法人日本国際協力センター JICEから>
研修時間や受講申込先は?
研修時間は「レベル1」〜「レベル5」の内容全てのコースでコースあたりの総研修時間が120時間と設定されています。
また、受講申込先は、原則、住んでいる地域のハローワークが申込先になります。
問い合わせ先は、
03-6838-2723 (JICE 国際協力推進部 多文化共生課 直通)
が窓口になっています。
研修の実施地域は?
現在は、20都府県(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、石川、長野、岐阜、静岡、愛知、京都、三重、滋賀、大阪、広島、香川、島根、長崎)で行われています。
まとめ
今回は、「一般財団法人日本国際協力センター(JICE)」が実施している「外国人就労・定着支援研修」について解説をしてきました。
今後も永住権や日本人の配偶者等で日本で生活する外国人は増加していくと考えられています。
日本で定着をしてもらうために、身分系の在留資格を持っている外国人が住みやすい環境を作っていけるように今後も様々課題を乗り越えていく必要があります。
その課題の解消に今回の研修が役立つように期待したいところです。
今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。
身分系の在留資格の一つである「永住権」については、以下の記事で解説をしています。↓