日本で働きたい外国人は、一般的に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得することになります。
この「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、就職する企業によって「カテゴリ1」〜「カテゴリー4」に分類され、そのカテゴリーによって在留資格の申請に必要となる書類が異なってきます。
「カテゴリー1」は上場企業等、大企業等が対象になり、申請に必要な書類が簡素化されます。
この「カテゴリー1」に含まれる企業に、「ユースエール認定企業」が含まれています。
そこで、今回は「ユースエール認定企業」について考えていきたいと思います。
皆様の参考になれば幸いです。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格については以下の記事で詳しく解説をしています。↓
・徹底解説!「技術・人文知識・国際業務」の7つのポイント
ユースエール認定制度とは?
ユースエール認定制度とは、別名「若者雇用促進法に基づく認定」といいます。
このユースエール認定制度は、若者の採用や育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度です。
つまり、このような企業の情報発信を後押しすることなどによって、企業が求める人材の円滑な採用を支援し、若者とのマッチング向上を図ることが期待されています。
ユースエール認定のメリットは?
ユースエール認定企業になるメリットは、6つあると考えれます。
以下に、ユースエール認定を受けるメリットを書いていきます。
ハローワーク等で重点的なPR の実施
「わかものハローワーク」や「新卒応援ハローワーク」などの支援拠点で認定企業を積極的にPRすることができるので、若者からの応募増が期待できるようになります。
また、厚生労働省が運営している、「若者雇用促進総合サイト」にも企業情報を掲載することができるので、自社の魅力を広くアピールすることができるようになります。
認定企業限定の就職面接回等への参加
各都道府県「労働局・ハローワーク」が開催する就職面接会などについて積極的に案内を受けることができ、そのことによって、正社員就職を希望する若者などの求職者と接する機会が増え、より適した人材の採用を期待できるようになります。
自社の商品・広告等に認定マークの使用が可能
認定企業は、若者雇用促進法に基づく認定マークを、商品、広告などに付けることができるようになります。
認定マークを使用することによって、若者雇用促進法に基づく認定を受けた優良企業であるということを対外的にアピールすることができます。
若者の採用・育成を支援する関係助成金を加算
若者の採用・育成を支援するため、認定企業が次の各種助成措置を活用する際、一定額が加算されます。
具体的には以下のような助成金があります。
・キャリアアップ助成金
・人材開発支援助成金(旧キャリア形成促進助成金)
・トライアル雇用助成金
・三年以内既卒者等採用定着奨励金(※)
(※)平成29年5月より特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)になります。
助成金の詳細は以下の厚生労働省のホームページでも掲載されています。↓
日本政策金融公庫による低利融資
株式会社日本政策金融公庫(中小企業事業・国民生活事業)が実施している「働き方改革推進支援資金(企業活力強化貸付)」を利用することができます。
公共調達における加点評価
公共調達のうち、価格以外の要素を評価する調達(総合評価落札方式・企画競争方式)を行う場合は、契約内容に応じて、ユースエール認定企業を加点評価するように、国が定める「女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針」において示されました。
技術・人文知識・国際業務ビザ申請の際にカテゴリー1の分類に
上記6つのメリットは、厚生労働省が発表している「ユースエール認定企業」になることのメリットを記載しました。
それ以外に、外国人のビザ申請におけるメリットは、在留資格申請時に「カテゴリー1」の分類に区分されることがあげられます。
「カテゴリー1」に分類されると、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の申請時において、出入国在留管理局に提出する書類が大幅に省略されることになります。
詳しくは、以下の記事で解説をしています。↓
・一定の条件を満たす中小企業への外国人留学生の就職について
ユースエール認定されるためには?
ユースエール認定企業になるためには、以下の要件を全て満たす必要があります。
1、学卒求人など、若者対象の正社員の求人申込みまたは募集を行っていること
2、若者の採用や人材育成に積極的に取り組む企業であること
3、以下の要件をすべて満たしていること
・直近3事業年度の新卒者などの正社員として就職した人の離職率が20%以下
・「人材育成方針」と「教育訓練計画」を策定していること
・前事業年度の正社員の月平均所定外労働時間が20時間以下かつ、月平均の法定時間外労働60時間以上の正社員が1人もいないこと
・前事業年度の正社員の有給休暇の年間付与日数に対する取得率が平均70%以上又は年間取得日数が平均10日以上
・直近3事業年度で、男性労働者の育児休業等取得者が1人以上又は女性労働者の育児休業等取得率が75%以上
4、以下の雇用情報項目について公表していること
・直近3事業年度の新卒者などの採用者数・離職者数、男女別採用者数、平均継続勤務年数
・研修内容、メンター制度の有無、自己啓発支援・キャリアコンサルティング制度・社内検定の制度の有無とその内容
・前事業年度の月平均の所定外労働時間、有給休暇の平均取得日数、育児休業の取得対象者数・取得者数(男女別)、役員・管理職の女性割合
5、過去に認定を取り消された場合、取り消しの日から起算して3年以上経過していること
6、過去に7から12までに掲げる基準を満たさなくなったため認定辞退を申し出て取り消した場合、取消しの日から3年以上経過していること
7、過去3年間に新規学卒者の採用内定取消しを行っていないこと
8、過去1年間に事業主都合による解雇または退職勧奨を行っていないこと
9、暴力団関係事業主でないこと
10、 風俗営業等関係事業主でないこと
11、雇用関係助成金の不支給措置を受けていないこと
12、重大な労働関係法令違反を行っていないこと
上記要件を満たしている必要があります。
その他外国人を雇用したい時のポイントについては、以下の記事で解説をしています。↓
・外国人を雇用したい!知っておきたいポイントを解説します!
まとめ
今回は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格における、「カテゴリー1」に分類される、「ユースエール認定企業」について考えてきました。
ユースエール認定の基準は今後も変更される可能性があるため、最新の動向はしっかりとチェックしておくことが大切です。
今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。
在留資格全般に関することは以下の記事で解説をしています。↓
・外国人の在留資格制度とは?わかりやすく解説します!