新型コロナウイルスの影響が未だ収まっていない2020年(令和2年)10月現在ですが、2020年10月1日から「全ての国・地域のビジネス上必要な人材,留学,家族滞在等の在留資格の者について,防疫措置を確約 できる受入企業・団体がいることを条件に入国を認める」ことになりました。
しかし、新型コロナウイルス前と同じように日本に入国することができず、一定の手続きが必要になります。
その手続きの一つにレジデンストラックを利用するスキームがあります。
そこで、今回は、このレジデンストラックについて考えていきたいと思います。
皆様の参考になれば幸いです。
外国人の在留資格については、以下の記事で解説をしています↓
・外国人の在留資格制度とは?わかりやすく徹底解説します。
国際的な人の往来再開に向けた段階的措置の経緯
新型コロナウイルスによって、外国人の新規入国が止められていましたが、
・2020年(令和2年)6月18日
日本国政府は、一般の国際的な往来とは別に、ビジネス上必要な人材等の出入国について例外的な枠を設置し、現行の水際措置を維持した上で、追加的な防疫措置(を条件とする仕組みを試行することとしました。
・2020年9月25日、10月1日
ビジネス上必要な人材等に加え、順次、留学、家族滞在等のその他の在留資格も対象とし、原則として全ての国・地域からの新規入国を許可することを決定しました。(防疫措置を確約できる受入企業・団体がいることを条件とし、入国者数は限定的な範囲に留める)
レジデンストラックとビジネストラック
今回の施行措置では、「ビジネストラック」と「レジデンストラック」のスキームが存在しています。
ビジネストラック
ビジネストラックとは、
今回の試行措置により例外的に相手国又は本邦への入国が認められ、「本邦活動計画書」の提出等の更なる条件の下、相手国又は本邦入国後の14日間の自宅等待機期間中も、行動範囲を限定した形でビジネス活動が可能となる(行動制限が一部緩和される)スキームです。
簡単にまとめると、主に短期出張者用になります。
レジデンストラック
一方レジデンストラックとは、
今回の措置により例外的に相手国又は本邦への入国が認められるものの、相手国又は本邦入国後の14日間の自宅等待機は維持されるスキームです。
簡単にまとめると、駐在員の派遣・交代等、長期滞在者用になります。
今回は、この長期滞在者用のレジデンストラックについて書いていきますので、ビジネストラックについては、あまり触れていません。
外国人がレジデンストラックを利用して日本に入国するためには
必要な手続きは、国によって多少の違いが出てきますが、一般的にレジデンストラックを利用して、日本に入国する際に必要となる手続きについて書いていきます。
必要な手続き
一般的には以下のような手続きを行なっていきます。
①誓約書(外国人レジデンストラック)
対象となる外国人の受入企業や団体は、追加的な防疫措置の実施を確保するために必要な措置をとること等を受入企業・団体が誓約する書類(「誓約書(外国人レジデンストラック)」)に必要事項を記入・上署名した上で、写しを出国・出域前に対象となる外国人に送付。
この誓約書では、電子署名や認印は認められていないので、必ず受入企業や団体の法人印を使用する必要があります。
また、誓約書を送付する際には、受入企業・団体は、アプリの導入・設定方法や必要書類について十分理解した上で、対象者に対して丁寧な説明することが求められます。
さらに、受入企業・団体は、原本を対象者の本邦入国後6週間保管し、関係省庁から求めがあった場合には提出しなければならにので、保管しておくことも忘れてはいけません。
レジデンストラックの参考様式は外務省のホームページにも掲載されています↓
・誓約書(外国人レジデンストラック)(PDF)
②新規査証発給の申請
対象となる外国人が、対象者の国籍国・地域に所在する日本の在外公館等において、新規査証発給の申請を行います。
一般的には、
(ア)査証申請書(顔写真貼付)
(イ)旅券
(ウ)在留資格認定証明書
(エ)誓約書
上記書類が必要になります。
申請の際に、「誓約書(外国人レジデンストラック)」の写しを提示することで、追加的な防疫措置への同意を確認することになります。
③14日間の検温の実施
対象者となる外国人は、日本に入国前14日間の検温を実施することが求められます。
発熱(37.5度以上)や呼吸器症状、倦怠感等を含む新型コロナウイルス感染症の症状が認められる場合は当然、渡航を中止しなければなりません。
また、健康モニタリングの結果の事前提出は不要となっており、日本行の飛行機の機内で配布される「質問票」に健康状況として反映すれば良いとされています。
④新型コロナウイルスに関する検査の実施
対象者は、対象国・地域からの出国・出域前72時間以内に、出発国・地域でCOVID-19に関する検査を受けて「陰性」であることを証明する「検査証明」を取得しなければなりません。
なお、72時間以内とは、検体採取から搭乗予定航空便の出発時刻までの時間を指します。
検査証明書には、以下の情報が必要になり、一つでも欠けている場合は、上陸拒否の対象になるので注意が必要です。
(1)人定事項(氏名、パスポート番号、国籍・地域、生年月日、性別)
(2)COVID-19の検査証明内容(検査手法(所定のフォーマットに記載されている採取検体、検査法に限る)、検査結果、検体採取日時、検査結果決定年月日、検査証明交付年月日)
(3)医療機関等の情報(医療機関名(又は医師名)、医療機関住所、医療機関印影(又は医師の署名))
上記全項目が英語で記載されたものに限ります。
⑤入国時に民間医療保険に加入していること
対象者は、入国時に民間医療保険(滞在期間中の医療費を補償する旅行保険を含む。)に加入していることが必要です。
ただし、入国時点で日本の公的保険制度(健康保険や国民健康保険など)に加入している場合は、この限りではありません。
⑥「誓約書(外国人レジデンストラック)」(写し)及び「質問票」を空港の検疫に提出
対象者は、日本入国時に「誓約書(外国人レジデンストラック)」(写し)及び「質問票」を空港の検疫に提出します。
また、「検査証明」(又はその写し)を空港の検疫に提示の上、入国審査の際に提出します。
⑦アプリの導入
LINEアプリ、接触確認アプリ、地図アプリ等の導入・設定等について、入国時に空港の検疫・入管で確認がされます。
そのため、事前に導入・設定について準備をしておく必要があります。
確認アプリについては、外務省のホームページにも記載されています↓
・新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA) COVID-19 Contact-Confirming Application
レジデンストラックを利用して日本に入国するために必要な書類は?
レジデンストラックを利用して日本に入国するための手続きや書類については、一般的には上述したとおりですが、まとめると
必要書類
・有効な査証又は再入国関連書類提出確認書
・「検査証明」(又はその写し)(出国・出域前72時間以内(注)の検査の結果に基づいたもの)
(注)検体採取から搭乗予定航空便の出発時刻までの時間
・「誓約書(外国人レジデンストラック)」写し2通
・「質問票」(入国便の機内において全乗客に配布されます。)
その他必要事項
・出国・出域前14日間の健康モニタリング
・入国時までの民間医療保険(滞在期間中の医療費を補償する旅行保険を含む。)への加入
・入国後14日間のLINEアプリを通じた健康フォローアップ
・接触確認アプリの導入別ウィンドウで開く
・入国後14日間の既存の地図アプリを通じた位置情報の保存
などが必要になります。
就労・長期滞在目的の外国人も入国対象に
2020年(令和2年)9月25日の決定に基づき、在留資格認定証明書を所有している方であれば、原則として全ての在留資格が新規入国許可の対象となります。
つまり、具体的には、「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「高度専門職」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「介護」、「興行」、「技能」、「特定技能」、「技能実習」、「文化活動」、「留学」、「研修」、「家族滞在」、「特定活動」、「定住者」が対象になります。
なお、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」については、在留資格認定証明書又は戸籍謄本等があれば、誓約書がなくても査証申請が可能になっています。
また、「外交」、「公用」目的の場合はレジデンストラックの手続は必要ありません。
まとめ
今回は、外国人の中長期滞在者が日本に入国するための手続きについて考えてきました。
新型コロナウイルスの影響が落ち着くまでは、レジデンストラックを利用するスキーム等、通常時よりも手続きが煩雑になりますので、事前に確認を取り、日本に入国ができないという状況を避けるように気をつけていくことが求められます。
今後の新型コロナウイルスの状況によっては、手続きが緩和されたり、さらに強化されたりと動きがあると思いますので、最新の情報を常にチェックしておくことをオススメします。
今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。
外国人の在留カードについては以下の記事で解説しています。↓
・外国人の在留カードについてわかりやすく解説します!