大学や専門学校等に通っている、外国人留学生は「留学」の在留資格を取得して日本に滞在をしています。
「留学」の在留資格で日本の大学等に通っている留学生の中には、就職活動を行い大学を卒業しても、そのまま日本の企業に就職するケースも多くあります。
しかし、大学や専門学校に在学中に就職活動が上手くいかず、卒業までに内定をもらえない場合は、「特定活動」の在留資格に変更することで、卒業後も就職活動を継続して行うことが可能になります。
そこで、今回は留学生が引き続き就職活動を行う場合の「特定活動」ビザについて書いていきます。
皆様の参考になれば幸いです。
特定活動全般は以下の記事で解説をしています。↓
・特定活動の在留資格を解説!オリンピックの準備も対象に?
外国人留学生の就職状況は?
法務省から発表されている「平成29年の留学生の日本企業等への就職状況」では、「留学」ビザから日本企業等に就職目的として行った在留資格変更許可申請に対して処分した数は27,926人(前年比6,028人増)、うち許可数は22,419人(前年比2,984人増) とされています。
つまり、22,419人の外国人留学生が日本企業に就職するために在留資格の変更が認められているということです。
また、「留学」ビザから就職するための在留資格変更において、最も多いものは「技術・人文知識・国際業務」ビザとなっています。
以下、グラフを参照してください。↓
特定活動ビザとは?
特定活動とは本来、「技術・人文知識・国際業務」「経営管理」「日本人の配偶者等」「永住者」などに該当しない、外国人に対して「その他の活動」として設定されている在留資格です。
外国人留学生が、大学卒業後も就職活動をしたい場合は「特定活動」という在留資格があります。
「特定活動」とは、簡単にまとめると
・技術・人文知識・国際業務
・経営管理
・日本人の配偶者等
・永住者
などに該当しない「その他の活動」に対して付与されます。— ひーくん@外国人ビザの専門家 (@coolwork3) January 5, 2019
例えば、
・外交官や領事官等の家事使用人
・アマチュアスポーツ選手
・インターンシップ
・ワーキングホリデー
・大学等を卒業した留学生が行う卒業後の就職活動
など、様々な活動が該当します。
この「特定活動」に卒業後の就職活動も含まれています。
他の活動についても、法務省のホームページで具体例が発表されています。↓
・法務省 在留資格「特定活動」
留学生が特定活動ビザに変更する時の注意点
留学生が大学や専門学校を卒業後も引き続き日本で就職活動を行うためには、上述した通り「特定活動」ビザに変更をする必要があります。
以下に「特定活動」ビザに変更を行う際の注意点を書いていきます。
①大学・大学院を卒業した者・専門学校の卒業した者が対象になる
「留学」ビザから「特定活動」ビザに変更するためには、大学等を卒業していることが必要です。
また、専門学校の場合は「専門士」の称号を取得している必要がありますので注意が必要です。
当然、卒業前から就職活動を行っていたことも立証する必要がありますので、就職サイトへの登録や企業等に対してのメールのやり取りなどの記録もとても大切な立証書類になります。
②大学等からの推薦状が必要
大学卒業後も、継続して就職活動の意思があるということを大学等からも推薦してもらうことが必要です。
入国管理局から出されている、推薦状のひな形は、以下の通りです。↓
・推薦状ひな形
③就職活動中の生活費など
就職活動を継続するにあたって、その期間の経費の支払い能力があることを立証する必要があります。
例えば、送金証明書や預金通帳の写しを提出することで、継続して就職活動を行っても、問題がないということを証明することが求められます。
特定活動ビザに変更に必要な書類は?
「留学」ビザから「特定活動」ビザに変更するために必要となる書類は以下の通りです。
1 在留資格変更許可申請書 1通(在留資格変更許可申請書ひな形)
2 写真(縦4cm×横3cm)1葉
3 パスポート及び在留カード 提示
4 申請人の在留中の一切の経費の支弁能力を証する文書 適宜
※ 当該申請人以外が経費支弁をする場合には,その者の支弁能力を証する文書及びその者が支弁するに至った経緯を明らかにする文書を提出してください。
5 身分を証する文書等(取次証明書,戸籍謄本等) 提示
6 直前まで在籍していた大学の卒業証書(写し)又は卒業証明書 1通
7 直前まで在籍していた大学による継続就職活動についての推薦状 1通
8 継続就職活動を行っていることを明らかにする資料 適宜
また、専門学校を卒業する留学生は、上記6・7・8に変えて
9 直前まで在籍していた専修学校の発行する専門士の称号を有することの証明書 1通
10 直前まで在籍していた専修学校の卒業証書(写し)又は卒業証明書及び成績証明書 1通
11 直前まで在籍していた専修学校による継続就職活動についての推薦状 1通
12 継続就職活動を行っていることを明らかにする資料 適宜
13 専門課程における修得内容の詳細を明らかにする資料 1通
※※このほか,申請いただいた後に,当局における審査の過程において,上記以外の資料を求める場合もありますので,あらかじめ,ご承知おき願います。※※
が必要になります。
特定活動の在留期間はどうなるの?
「留学」ビザから「特定活動」ビザに変更を行った場合、在留期間は、原則最長1年間となります。
つまり、変更に際して6ヶ月の在留期間が認められ、更に1回の在留期間の更新が認められるため、大学等を卒業後も就職活動のために1年間本邦に滞在することが可能となります。
就職活動中はアルバイトはできないの?
「特定活動」ビザに変更が認めら、就職活動を継続している場合でも、一定の要件を満たせば、資格外活動の許可を受けて1週について28時間以内で行う資格外活動(いわゆるアルバイト)が可能です。
資格外活動については、以下の記事で詳しく解説をしています。↓
・資格外活動って何?留学生をアルバイトで雇用する時の注意点
入社前には在留資格の変更が必要
「特定活動」ビザを取得後、就職活動が成功して、就職する場合には「特定活動」から「技術・人文知識・国際業務」ビザなどに在留資格を変更する必要があります。
「技術・人文知識・国際業務」ビザについては、以下の記事で詳しく解説をしています。↓
・徹底解説!「技術・人文知識・国際業務」の7つのポイント
まとめ
今回は、留学生が大学や専門学校を卒業後も、継続して就職活動を行うための「特定活動」ビザについて解説をしてきました。
大学等に在学中に、就職活動が上手くいかず、卒業が近づいてきた場合でも、諦めず「特定活動」ビザに変更して、就職活動を続けるという選択肢もありますので、日本で就職したい留学生には心強いビザになります。
今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。